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星河の覇皇

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第七十三部第一章 野心家のはじまりその三十三

「何十万光年もの距離だが」
「少しずつ蛙跳びに拠点を築いていき」
「そして徐々に進んでいきますね」
「しかも大型の艦艇を使い」
「そうして進んでいきますね」
「かつての大航海時代は冒険だった」
 文字通りそうだった、バスコ=ダ=ガマにしてもコロンブスにしても命懸けでインドに至り新大陸にと辿り着いている。
「多くの犠牲も払った」
「数えきれない人間が海に消えていますね」
「嵐や壊血病により」
 当然海賊や他国での攻撃でも命を落としている。
「そうなってきましたね」
「その冒険の中で」
「そうなってきましたね」
「しかし今度は違う」
 その新大航海時代はというのだ。
「既に暗黒宙域には多くの無人偵察艇を出していてだ」
「そうして暗黒宙域を調べてきました」
「どういった場所なのか」
「そして中継地も作っていきますし」
「あの時とは全く違いますね」
「手探りで未知の大海原に繰り出すのとは違う」
 こう言うのだった。
「しかも一気に海を踏破もしない」
「徐々に、ですね」
「進んでいくものですから」
「犠牲も最低限で済みます」
「出さないことも可能ですね」
「既にわかっている場所を進むことは容易だ」
 何もわかっていない場所を進むよりも遥かにだ。
「そして犠牲も少なくだ」
「無駄もなく、ですね」
「時間的なロスもなく」
「そして予算も少なく済む」
「そうなりますね」
「そこが違う、莫大な予算は使うがだ」
 しかしというのだ。
「かつてのスペインやポルトガルとは違う」
「両国は多くの国力を使いましたが」
「人口も減りました」
 特にポルトガルの人口減少はかなりのものだった、そして国力を消耗させた結果スペインに一時的に併合されたりもした。
「そうしたことはないですね」
「事前にわかっている場所を進むので」
「それも徐々になので」
「遥かに楽に行けますね」
「そうだ、私は政治的冒険はしない」
 ギルフォードの信条の一つだ、責任ある者は責任あることに対して冒険をしてはならないというのである。
「だからだ」
「このこともですね」
「決して、ですね」
「冒険はせず慎重に進む」
「そうしていきますか」
「そして新天地を手に入れてそこからだ」
 まさにというのだ。
「連合を凌駕する国力を備える」
「我々も無限の開発、開拓地を手に入れ」
「そして豊かになりですね」
「技術も発展させ」
「やがては」
「かつての正しい姿に戻す」
 エウロパの者が思うそれにというのだ。
「第二次世界大戦までのな」
「エウロパが正しく導いていた」
「あの頃に戻しますね」
「連合を軍門に降し」
「そうした世界にしますか」
「その為にもだ」
 今はというのだ。
「国債も発行する、そしてその国債はだ」
「返しますか」
「全額」
「それも瞬く間にな」 
 エウロパが復興、発展し今以上に力をつけたその時にというのだ。 
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