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星河の覇皇

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第七十三部第一章 野心家のはじまりその二十七

「悪妻もまた」
「よき夫もとも言うがな」
「よき伴侶はですね」
「自分自身が作るものだ」
「だからこそ妻は大事にしろ、ですね」
「夫もな」
「そうすればよく妻となる」
 大事にされてそれに応えようとするからだ。
「だからですね」
「そうだ、ではな」
「はい、それではです」
「家ではだ」
「妻を大事にしているつもりです。そして」
「卿にはご息女がいたな」
 ギルフォードはこのことも問うた。
「そうだったな」
「今年で十七になります」
「一番多感な頃だ、ではだ」
「娘もですね」
「大切にすることだ」
「妻と共に」
「子供も同じだ」
 伴侶と、というのだ。
「やはり大事にするとな」
「よき子に育ちますね」
「だからだ、例え多忙でもだ」
「家族は大事にすることですね」
「さもないと育たない」
 到底、というのだ。
「だからだ」
「承知しております」
「そうする様にな、私もだ」
「総統もですね」
「家庭は守っている」 
 それはというのだ。
「昔からな」
「やはり家庭ですね」
「家庭があってこそだ」
「国家はまとまりますね」
「全体主義はそうは考えないが」
 むしろ家庭を破壊するのが全体主義だ、ナチスもソ連も子供に親を、親に子供を密告さえさせていた。これでは健全な家庭など出来る筈もない。
「エウロパは民主主義だ」
「はい、まさに」
「それもだ」
「健全な民主主義ですね」
「高貴な者が主導するな」
 即ち貴族達がだ。
「確かな血筋と伝統、教育と教養を持つ」
「その通りです」
「愚かな大衆が愚かな者達を選ぶ」
「連合とは違いますね」
「優秀な者達からさらに優秀な者を選ぶ」
「それが我々ですね」
「エウロパだ、では明日はだ」
「はい、明日はですね」
「蔵相と総裁を呼ぼう」
 その彼等をというのだ、そしてだった。
 翌朝実際にだった、ギルフォードは早朝の乗馬の後シャワーを浴び食事を済ませてだ。それからだった。
 すぐにだ、官邸にいる者達に問うた。
「蔵相と中央銀行総裁はどうしている」
「はい、既にです」
「お二人共それぞれの省庁を発たれています」
「そのうえでこちらに向かわれています」
「お車で」
「そうか、ではだ」
 報告を聞いてだ、ギルフォードは言った。
「私は待とう」
「はい、それではですね」
「今からですね」
「会議ですね」
「それの用意を」
「頼む、会議室の一つを使ってだ」
 ギルフォードはミルクティーを飲みつつ述べた。 
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