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星河の覇皇

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第七十三部第一章 野心家のはじまりその十九

「自分で責任を取ってもらうから」
「そういうことですか」
「そうよ、わかったわね」
「はい」
 確かな声でだ、小柳も答えた。
「そしてそれに自信がないならですね」
「白であり続けることよ」
「わかりました」
「そういうことでね」
「それでは」
 小柳は伊東とそうした話をした、その後は自身が閣僚を務める省に戻ってから仕事をした。しかしだった。
 夜になるとだ、不意にスタッフの一人にこんなことを言った。
「今夜はね」
「どうされますか」
「ラーメンを食べたいけれど」
「では」
「さて、どういったラーメンを食べるかだけれど」
「大臣ラーメンがお好きですね」
「実家の関係でね」
 それでとだ、小柳はスタッフに笑って話した。
「昔から好きよ」
「生麺のラーメンもインスタントも」
「どちらもね」
「では今日は」
「食堂のラーメンもいいし」
 省の中にあるそれである。
「若しくはね」
「インスタントですね」
「どちらでもいいけれど」
「では」
「ええ、問題はどちらにするかだけれど」
 考えつつだ、小柳はスタッフに話していった。
「どうしたものかしら」
「インスタントならすぐに出来ますが」 
 スタッフは妙齢の女性だった、ズボンのスーツと眼鏡がよく似合っている。その姿で小柳に話す。
「今から」
「すぐになのね」
「はい、野菜とチャーシュー、卵も用意されているので」
「そうなのね、ではね」
「それでは」
「ええ、インスタントにするわ」
 こちらのラーメンにとだ、小柳は答えた。
「ではね」
「それでは今から作ります」
「いえ、私が作るわ」
 小柳はスタッフに微笑んで返した。
「私が食べるから」
「しかしそれは」
「いいわ、自分のことは自分でよ」
 小柳は微笑んでスタッフに話した。
「ですから」
「そうですか、それでは」
「貴女は何を食べるのかしら」
「私は既にお弁当を用意していましたので」
「家で」
「お昼の分とです」
 夜のものもというのだ。
「用意していますので」
「そちらを食べるのね」
「ですからお気遣いなく」
「それではね」
「大臣はラーメンをですね」
「自分で作って食べるわ、お仕事も一段落したし」
 丁度いい気分転換にもなるからだというのだ。
「そうするわ」
「それでは」
「ええ、ではね」
「お召し上がり下さい」 
 スタッフはこう小柳に話した、そしてだった。
 小柳は席を立ってだ、そうして執務室の隣にある簡易のキッチンに入った。そこにある袋のインスタントラーメンを出してだった。 
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