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星河の覇皇

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第七十三部第一章 野心家のはじまりその十八

「政敵達の攻撃をものともせず」
「そうしたことも可能ですね」
「ええ、ただそれはね」
「カエサルだからこそですね」
「出来たことよ」
 人類史に名を残すまでの英雄だからこそというのだ。
「そうした人物なら出来るけれど」
「普通は、ですね」
「そうしたことは出来ないわ」
「そこを付け込まれますね」
「カエサルか逆にどの様な政敵も陥れるだけの謀略を持っているか」
 この場合もだ、伊東は話した。
「そうでもないとね」
「無理ですね」
「隙の多い人物が政治家として大成するにはね」
「隙がないか隙を覆えるものがあるか」
「そうでもないとね」
「私は隙を覆えるものはありません」 
 自分のことをだ、小柳は冷静に述べた。
「どうしても」
「ならね」
「はい、隙を作らない様にします」
「お金と異性、同性にはね」
「くれぐれもですね」
「気をつけることよ」
「私の場合は金銭ですね」 
 小柳はここでも自身を分析して述べた。
「同性、異性は主人だけなので」
「ただそこも噂になる様なことはね」
「注意ですね」
「そうよ、こうしたことはね」
 どうしてもというのだ。
「言われるものだから」
「根も葉もなくとも」
「そうしたものだからこそよ」
「気をつけて」
「そうしていくのよ」
「では」
「はい、そのことはです」
「気をつけてね」
「そうしていきます」
 小柳はこう言ってだ、実際に自身の身辺には気をつけていった。しかしその小柳に伊東はさらに言った。
「私も気付けばね」
「その時はですか」
「注意するわ」
 小柳をというのだ。
「勿論他の議員の人達もよ」
「総裁としてそうされますか」
「ええ、事務所の明細書一つでもね」
「そこからですね」
「問題もなったりするわね」
「記載漏れ等がありますと」
「時には記載漏れからね」
 その些細なミスといっていいものからだ。
「汚職に仕立てあげることもあるわ」
「報道によってですね」
「実際にあったわね」
「そうした工作も」
「しようと思えば出来るのよ」
「汚職を作ることが」
「ええ、そうしたこともね」
 二十一世紀初頭の日本のマスコミが報道で実際にそうしていた、この時代の日本のマスコミと左翼政党の悪質さはこの時代でも歴史において批判され続けている。
「出来るから」
「だからこそですね」
「そうしたことには気をつけてもね」
「総裁が気がつけられれば」
「すぐに連絡するわ」
「そうしてですね」
「ええ、こちらからもそうした話は消すわ。けれどね」 
 助けはする、しかしというのだ。
「それは白が黒になりかねない話だけで」
「黒が黒ならば」
「私は何も出来ないわ」
「その場合はですね」
「貴女は違うけれど私は黒を隠せない政治家はね」
 つまり隙のある政治家はというのだ。 
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