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星河の覇皇

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第七十二部第五章 二つの政府の統合その十八

「さらにです」
「巨大な勢力にか」
「マウリアをしようとしているのでは」
「では戦争か」
「いえ、戦争はです」
 このことはとだ、ザガールは否定して述べた。
「今のマウリアは」
「積極的にはな」
「行う理由がありません」
「そうだな、それはな」
「ですからそれは起こってもです」
「大規模なものではないか」
「はい、しかし巨大な野心が資質に支えられ何処に向かうか」
「それが心配か」
「ガルーダの飛ぶ距離は果てしないです」
 人間の目からしてみればだ。
「我々ではとても想像出来ないまでに」
「外に向かうならどうなるか」
「その羽ばたきが何処に向かうか」
「わからないか」
「どうにも」
「人は自分が理解出来る範疇でしか理解出来ない」
 クリシュナータはこうも言った。
「器以上のものは理解出来ない」
「英雄は英雄を知ります」
「英雄でないとか」
「彼のことはです」
「わからないか」
「そうなるかと」
「ガルーダか。そうかもな」
 彼についてだ、クリシュナータは述べた。
「意外なところにいたものだ」
「全くですね」
「神は時として人に生まれ変わる」
 マウリアではよく言われている、先に話に出た釈迦はヴィシュヌの転生の一つだがヒンズー神話最高の英雄の一人クリシュナもヴィシュヌの転生の一つとされている。
「そしてその時はだ」
「その人はですね」
「人に出来ないことをする」
「神の業績を残しますね」
「そうだ、では彼は」
「ガルーダの転生なら」
 あくまでマウリアの信仰の中で話す。
「マウリアの器を超えた」
「その様なものは羽ばたき一つで超えるな」
「そうしたことをしますか」
「おそらくな、しかしだ」
「あの御仁にですね」
「私は任せたく思う」
 その彼にというのだ。
「この国を大きく変える英雄と確信しているからな」
「発展させてですね」
「そのうえでだ」
「だからこそですか」
「賭けになるかも知れない」
 こうもだ、クリシュナータは言った。
「危険性はどうして否定出来ない」
「それがマウリアにとって凶になることもですね」
「有り得る」
 どうしてもというのだ。
「しかしだ」
「それでもですね」
「彼はマウリアを変える」
「それも確実に」
「よくな、ではだ」
「よく変えた後で凶になるかも知れなくても」
「神にしか見えないものは判断材料に出来ない」
 それは到底、というのだ。
「政治ではな」
「凶になるかは」
「それならば避けるのも政治だが」
「それでもですね」
「それ以上のものが彼にはある」
「マウリアを確実に変え発展させてくれる」
「このことがあるからだ」 
 だからだというのだ。
 
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