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星河の覇皇

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第七十二部第五章 二つの政府の統合その十六

「それに収められない人物はな」
「それこそですね」
「千年の間出たことはないが」
「千年に一度の人物でもなければ」
「ならないだろうが」
「あの御仁が若し」
 それこそというのだ。
「その千宴に一度の人物で」
「その巨大な資質と野心がだな」
「マウリアに収まりきれないとなると」
「かえってか」
「危険に思えます」
「そうかもな、しかしだ」
 それでもとだ、クリシュナータはザガールに述べた。
「私は彼の資質を見てだ」
「そうしてですか」
「マウリアの次の国家主席にだ」
「推されたいですか」
「そう思っている」
 実際にというのだ。
「少なくとも副主席には任命したい」
「そこで実績を築いてもらい」
「その実績もだ」
「総裁選の糧として」
「国家主席の選挙にもだ」
 マウリアの国家主席の座を決めるこれについてもというのだ。
「出てもらいたい」
「そうなのですか」
「少なくとも国家主席になりだ」
「さらにですね」
「マウリアを発展させて変える力量はあるな」
「確かに、むしろです」
 ザガールはクリシュナータの言葉に頷いた、しかしここで再び彼の意見を述べた。それはどうしても言わずにはいられないものだったからだ。彼にとっては。
「私は危惧しています」
「力量がだな」
「マウリアに収まりきれるかどうか」
「そこまで巨大だからか」
「はい、野心も大きいですね」
「おそらく私が思っている以上にな」
 クリシュナータ自身彼が巨大な野心は知っている、しかしその野心はクリシュナータの予想を超えていることも察しているのだ。
「途方もないものだ」
「マウリアを発展させ変革し」
「さらにだ」
「マウリアをですね」
「巨大にしたいのだ、バランサーのままでもな」
 人類社会にこのポジションは守ったうえでというのだ。
「積極的なバランサー、それはな」
「盟主ですか」
「そこまでかも知れない、若しかすると」
「それ以上に」
「私の予想以上かもと言った」
 彼の野心はというのだ。
「勿論資質もだがな」
「ではやはり私は」
「彼についてはか」
「副主席にするにも」
「就任すればか」
「そこから一気に出ます、英雄は常にその相応しい場所に着いて」
 歴史のことからだ、ザガールは話した。
「もっともその場所に着くまでも資質を発揮していますが」
「だがそこからだな」
「本格的に飛び立っています」
「若し彼にとってそれが副主席ならば」
「本格的にとなるでしょう」
「英雄が英雄になる、だな」
「その場所かと」
 まさにというのだ。
「あの御仁にとっては」
「これまでもそうだったにしても」
「表に出るには」
「まさにその場か」
「そうかと」
「彼等の世界では知られていたがな」
 表に出てはいなかった、連合やエウロパはおろかマウリアにおいてもだ。
 
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