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星河の覇皇

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第七十二部第五章 二つの政府の統合その十三

「私は彼に譲りたいな」
「主席の座を」
「そこまでお考えですか」
「主席の座はそれに相応しい者が座るべきだ」
 マウリア国家主席、つまりこの国を国家元首として統治し導くことが出来る者こそがというのだ。国家元首としての言葉だった。
「だから彼にその資質があれば」
「出自ではなくですね」
「能力で」
「選ばれるべきだ、国家主席にカーストは関係ない」
 資質を見るものだからだというのだ。
「だからこそ彼を副主席にしたいが」
「そのことをですね」
「今ここで閣議にですか」
「出されますか」
「いや、諸君に今ここでいきなり閣議として出してもだ」
 そうしてもというのだ。
「諸君等も考えが定まらないだろう」
「では次ですか」
「次の閣議で、ですか」
「出す」
 出したいではなかった、出すことは決まっているというのだ。
「そしてその時までに考えを決めてもらいたい」
「その人事についてですね」
「賛成かどうか」
「そのことを」
「反対してもいい」
 クリシュナータはそちらも許した。
「諸君等の考え通りにするのだ、そして咎めもしない」
「我々のその決断を」
「そうすることもですか」
「しない」
 一切というのだ。
「反対してもいい、それで閣僚の座を追わないし他のこともだ」
「されない」
「そうなのですか」
「だからだ、いいな」
 それならと言うのだった、そしてだ。
 その話をしてだ、クリシュナータはあらためて言った。
「連合、サハラ、エウロパが大きく動いている」
「今現在ですね」
「人類全体が」
「そして我がマウリアもまた」
「そうなっていきますね」
「そうだ、この変革を止めるつもりはない」
 マウリアの為だ、言うまでもなく。
「必ずよい方向に向かわせる」
「マウリアの変化はいい変化ですね」
「そうなるものですね」
「これから」
「そうだ、そうなるのだ」
「閣下がそうされる」
「そのおつもりですね」
「国家元首の務めは言葉にすると簡単だ」
 実際の行動はその時とその場で変わり実現するには非常な困難を伴う場合が多いにしてもである。
「その国に最大限の利益をもたらすことだ」
「国益ですね」
「それを国家にもたらすことですね」
「このことが大事ですね」
「そうだ、それは私も同じだ」
 国家元首であるからだ、言うまでもなく。
「だからそれに添った行動を取る」
「それ故のことですね」
「アウトカースト層のことにしても」
「全てはマウリアの為」
「その為ですね」
「そう考えてだ、では今日の閣議はこれで終わりだな」 
 ここでだ、クリシュナータは丁度紅茶を飲み終えた。ミルクと砂糖の甘さを楽しんだがそれも終わりだった。
「では次の閣議までだ」
「はい、解散ですね」
「また後日にですね」
「閣議を開く、ではその時までだ」
 まさにというにだ。
「例の件のことの意見を決めてもらいたい」
「それでは」
「その件も」
「ではな」 
 この言葉に応えてだ、そしてだった。
 クリシュナータは閣議の後は一人で主席官邸の執務室で彼の仕事に入った。しかしここで彼の政党である改革派からだ。
 
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