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星河の覇皇

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第七十二部第五章 二つの政府の統合その十二

「そして今のマウリアはだ」
「アウトカースト層がですね」
「それどころではなかったらですね」
「もう一つの政府、社会になっていた」
「このままでは彼等が力を持ち過ぎる」
「それで閣下も動かれたのですね」
「そうだった、そして二度と二つにはさせない」
 マウリア社会をというのだ。
「アウトカースト層は完全にマウリア社会に組み込んでいく」
「これからもですね」
「さらにですね」
「そうしていき」
「確かな社会にしていきますか」
「それを目指す、マウリアの為だ」
 あくまでというのだ。
「そして彼もそれを望んでいる」
「閣下に協力してくれる」
「あの御仁もですね」
「そうされるのですか」
「閣下と共に」
「彼は見事な人物だ」
 クリシュナータの顔がここで変わった、確信している笑みになりそのうえで閣僚達に語ったのである。それも強い言葉で。
「大事を為せるかもな」
「かも、ですか」
「そうなのですか」
「統率力と政治力、知力がありだ」
 そしてというのだ。
「カリスマもある、だが」
「人はそれだけではですね」
「大事を為せない」
「そうなのですね」
「神々の力、それもまたですね」
「必要ですね」
「人の力は限られている」
 クリシュナータは人間は小さいものだと考えている、途方もない力を持っているヒンズーの神々の前にはどの様な人間も小さいというのだ。
「所詮はな」
「はい、人は所詮人です」
「それ以上ではありません」
「神ではありません」
 閣僚達もこのことについてはクリシュナータと同じ意見だった。
「神ではなくです」
「小さな力しかありません」
「ですから大事を為そうとすれば」
「神々の力も必要ですね」
「運が授けられないとだ」
 これが神々の力だというのだ。
「結局人はどうにもならない」
「そうしたものですね」
「如何に有能でも人だけの力では限られています」
「運がなければいざという時にしくじります」
「そうなってしまいます」
「そうして敗れ去った者も多かった」
 運がなかったばかりにというのだ。
「英雄は運がいい者も多いな」
「むしろ運がですね」
「英雄を英雄にしてきた」
「そうしたことが多いですね」
「神々の恩恵があって人はことを為せる」
 運が授けられてはじめてというのだ。
「果たして彼にそれがあるか」
「そこをですか」
「見極められますか」
「そちらのことも」
「そのつもりだ、資質も全て見極めていないがな」
 彼のそれもというのだ。
「その中で最もだ、知らないのはだ」
「運ですね」
「この要素をですね」
「閣下もご存知ない」
「だからこそですか」
「見ていきたい、そして若し彼が私が思っていた通りの資質を持っているならば」
 それならばというのだ。 
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