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ドリトル先生の林檎園

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第二幕その一

               第二幕  いざ長野へ
 月日が経つのは早いものです、光陰矢の如しといいますがまさにその通りと言うべきでしょうか。
 先生達は明日長野県に向けて出発するその日になりました、トミーはお家で先生に対して笑顔で尋ねました。
「もう用意はですね」
「全部出来ているよ」
 先生も笑顔で答えます。
「もうね」
「そうなんですね」
「今回も皆がしてくれたよ」
「だってね」
 動物の皆が先生の言葉を受けて言います。
「先生ってこうしたことは駄目だから」
「本当にね」
「世間のことは駄目だから」
「生活力は本当に、だから」
「学問以外のことはね」
「だからだよ」
 こう口々に言います。
「こうした時こそ僕達がしっかりしないと」
「先生の身の回りのことは」
「何とかしないとね」
「いつもそう思っているから」
「それでなんだ」
 先生は皆の言葉を受けてからあらためてトミーに言いました。
「僕は今回もね」
「無事にですね」
「旅の身支度を整えることが出来たよ」
「それは何よりですね」
「お土産も忘れないから」
 こちらのお話もする先生でした。
「トミーにも王子にも」
「僕達も後で、ですよ」
「ああ、行ける様になったんだね」
「ですから」
 それでというのです。
「待っていて下さいね」
「それじゃあね」
「王子は楽しみにしていますから」
「長野に行くことをだね」
「それであちらでお蕎麦を食べて」
「林檎もだね」
 こちらも忘れませんでした。
「そうだね」
「どちらも楽しみにしていますから」
「じゃあ君達へのお土産は」
「いいですよ」
 こう先生に言うのでした。
「他の人にお願いします、特に」
「特に?」
「日笠さんにです」
 トミーはここでこの人のお名前を出しました。
「お願いしますね」
「あれっ、ここでも日笠さんなんだ」
 先生はそれが何故かわからないできょとんとなりました。
「そうなんだ」
「はい、絶対にですよ」
「トミーも王子も絶対にそう言うね」
「先生の旅行の前にはですね」
「どうしてかわからないけれど」
「そこでわからないとね」
 動物達も言いました。
「そもそもね」
「先生はそっちも相変わらずだね」
「本当に学問以外は駄目なんだから」
「こうしたこともね」
「折角物凄く素晴らしい性格なのに」
「僕は性格はいいかな」
 このことも今一つ実感のない先生です。
「色々問題点があるよ」
「いや、公平だしね」
「偏見もないしね」
「穏やかだし」
「絶対に怒ったりしないし」
「おおらかでね」
「気遣いもあるし」
 先生のそうした長所も挙げていくのでした。 
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