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レーヴァティン

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第百二十八話 博多からその七

「その味もな」
「美的感覚以上かもな」
「合わん様になって」
「なくしていったか」
「そうかも知れんな、とにかく起きた世界ではな」
 そこではというのだ。
「白米になっているな」
「それでもや」
「こちらの世界では違うからな」
「しかも奈良ではな」
 この街ではとだ、耕平は英雄に話した。
「奈良時代のもんも食えるからな」
「そうだな」
「そやからな」
 それでというのだ。
「今度食うのもええやろ」
「術で大坂から奈良に行ってか」
「若しくは奈良に行った時にな」
 その時にというのだ。
「食うてもええし」
「奈良時代の馳走か」
「わい等の世界で言うな」
「赤米や黒米もあるな」
「あと蘇もあるで」
 この品もというのだ。
「あそこには」
「あれはチーズよね」
 香織が蘇と聞いてこの食べものの名前を出した。
「要するに」
「そうだな、あれはな」
「チーズよね」
「俺もこの世界に来て食ったことがあるが」
 英雄は蘇のことで香織に答えた、今は食卓にないその品のことを。
「確かにだ」
「チーズっちゃな」
「味も匂いもな」
「食感にしてもっちゃ」
「チーズだ」
 紛れもなく、というのだ。
「あれはな」
「そうっちゃな」
「日本ではチーズも食べていた」
「まさにそれが蘇っちゃな」
「そして酪や醍醐もな」
 こちらもというのだ。
「食っているしな」
「どれも乳製品でっちゃ」
 留奈はさらに言った。
「食べたことがある感じっちゃ」
「バターやヨーグルトだな」
「そうした感じっちゃな」
「この世界では奈良では誰もが食っているな」
「それこそ街で売っているっちゃ」
「普通になっているが」
 それでもとだ、永湯は今は河豚鍋の中にあるものを食いつつ述べた、河豚の他には豆腐に白菜、椎茸、葱、春菊、糸蒟蒻等がある。
「起きた世界ではな」
「長い間乳製品はっちゃ」
 まさにというのだ。
「限られた人しか食べていなかったっちゃ」
「身分の高いな」
「聖徳太子や藤原道長さんが好きだったそうっちゃ」
「聖徳太子もか」
「大好物だったそうっちゃ」
 このことは歴史書にも書かれている。
「どうも」
「つまり今で言うとチーズがお好きであられたか」
 英雄も皇室の方々には敬意を払う、それで太子には敬語なのだ。
「そうだったのか」
「その様っちゃ」
「成程な」
「その蘇もっちゃな」
「奈良に行くとな」
「食べられるっちゃな」
「なら機会があれば」
 その時にというのだ。 
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