| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

レーヴァティン

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第百二十八話 博多からその六

「わい等が起きてる世界でもな」
「あったな」
「かつてはな」
「赤米や黒米もな」
「そやったんや」
「そうした米からも酒を造ってたな」
「白米からだけやなくてな」
 この米だけでなくというのだ。
「ちゃんとな」
「そうだったな」
「奈良時代まであってん」
 赤米や黒米がというのだ。
「けどこれがな」
「消えていったな」
「平安時代からか」
「白米だけになったな」
「何でか」 
 耕平はてっさを食べつつ首を傾げさせて話した。
「これがな」
「当時の日本人達はな」
「そうしたお米を嫌ったか」
「なくしていったな」
「白米だけにしていった」
 この米だけにというのだ。
「そしてや」
「今の俺達はな」
「起きた世界では」
「白米を食っているな」
「この米だけをな」
「そうなっているな」
「最近奈良県で復活させてるけど」
 そうした米達をというのだ。
「ずっとや」
「そうした米達をだな」
「日本人はなくしていって」
「長い間忘れていたな」
「記録には残っていても」
 それでもというのだ。
「ずっとな」
「忘れていたな」
「そうなってたわ」
「不思議な話だ」
 英雄は今度は鍋の豆腐を食べた、よく炊かれたそれは一口食べただけで身体が温まるものであった。
「思えば」
「美的感覚ちゃうか」
「当時の日本人のか」
「奈良時代まではな」
「それでよくてもか」
「平安時代になっていって」
「赤米や黒米がか」
 英雄はまた酒を飲んで言った。
「日本人の美的感覚が変わって」
「そうしてな」
「赤米や黒米がどうかとなり」
「なくしていったんちゃうか」
「そうなのだろうか」
「お米はお米やからな」 
 耕平は核心を話した。
「赤米も黒米も」
「白米と同じな」
「お米や、栄養もな」
「変わらないな」
「その筈やし」
「それか味か」
「味はちゃうな」
 耕平はまた答えた。
「実際に」
「そうだな」
「それぞれのお米でな」
「酒もな」
「今飲んでるのは白米のお酒やが」
「これが赤米や黒米だとな」
「またちゃう味で」
 それでというのだ。
「どっちの玄米も精白したのもな」
「白米とはまた違う」
「そうした味や、そやから」
 それでというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧