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戦姫絶唱シンフォギア~響き交わる伴装者~

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第4楽章~小波の王子と雪の音の歌姫~
  第32節「兆しの行方は」

 
前書き
XDのアニメ7話放送記念無料ガチャ回したら、花嫁ビッキーが当たった頃の回。
頑張ったご褒美ですね、これ……。ありがとうビッキー!
これからも頑張って書いてくし、絶対に翔くんと幸せになってもらうからね!
ってノリで書ききったけど、まだ覚醒終わってないしボイスの解放も済んでないよ……。これから頑張らなきゃ……。

花嫁ビッキーで学祭コスプレネタ、夢オチ結婚ネタ、本編から数年後のガチ挙式ネタと3パターンは書けるのでは?
こういうのってインスピレーションが浮かぶ良い機会ですよね。
……あれ?これXDの心象変化ギア全般ネタに出来るぞ? 

 
 山奥の洋館。銀髪の少女……クリスは、洋館の裏手にある湖にかけられた桟橋から、日の出を見つめていた。
(──完全聖遺物の起動には相応のフォニックゲインが必要だと、フィーネはいっていた……。あたしがソロモンの杖に半年もかかずらった事を、あいつはあっという間に成し遂げた……無理やり力をぶっぱなしてみせやがったッ!)
「……バケモノめッ!」
 手に握っている、今は持ち運びやすいように変形しているソロモンの杖を見つめる。
「このあたしに身柄の確保をさせるくらい、フィーネはあいつにご執心ってわけかよ……。フィーネに見捨てられたら、あたしは……」
 8年前、目の前で両親を失ってからの5年間を思い出す。
 捕虜にされ、ろくな食事も与えられず、他の子供達が暴力を振るわれ、何処かに連れて行かれる姿を見て怯え続けた日々。
 思い出す度に、この世界への怒りと大人への不信感が募っていく。
 同時に、もう二度とあんな惨めな生活には戻りたくない、という思いが膨らんでいく。
 ひとりぼっちになんか、なりたくない。あたしにはもう、フィーネしかいないんだ。
 もし、フィーネの興味が完全にあいつに映っちまったら、フィーネはもうあたしに固執する理由がなくなっちまう……。
「…………。そしてまた、あたしはひとりぼっちになるわけだ」
 
 昇る朝日を見つめるクリスの背後に、音もなく忍び寄る影。
 気付いたクリスが振り返ると、丈の短い真っ黒なワンピースに身を包んだフィーネが、朝の涼風にその金髪を靡かせていた。
「──わかっている。自分に課せられた事くらいは。こんなもんに頼らなくとも、あんたの言うことくらいやってやらぁ!」
 そう言ってクリスらは、ソロモンの杖をフィーネの方へと投げる。
 微動だにせず、それを受け取ったフィーネは、煽るように問いかけた。
「ソロモンの杖を私に返してしまって、本当にいいのかしら?」
「あいつよりも、あたしの方が優秀だって事を見せてやる!あたし以外に力を持つ奴は全部この手でぶちのめしてくれる!それがあたしの目的だからなッ!」
 目の前で宙を掴み、拳を握り締めるながらクリスはそう言い放つ。
 その憎悪に満ちた目を、フィーネはただ妖しく微笑みながら見つめていた。
 
 ∮
 
「はッ!ふッ!」
 弦十郎の自宅では、今日も朝早くから響がサンドバッグ打ちを続けていた。
 朝日に汗の雫が舞い、掛け声勇ましく繰り出された拳にサンドバッグが揺れる。
「そうだ!拳に思いを乗せ、真っ直ぐに突き出せッ!ラストッ!大地すらねじ伏せる渾身の一撃を叩き込めッ!」
「はい、師匠ッ!──はああッ!」
 最後の一撃が決まり、サンドバッグが一際大きく揺れる。
「よし、サンドバッグ打ちはここまで!ごくろうだったな。そろそろ休憩にするか?」
「はあ……、はあ……師匠ッ!まだです!続きをお願いしますッ!」
「響くん……。よし分かった!次はシミュレータに行くぞ!」
「はいッ!……ところで師匠、今日は翔くんの姿が見えませんが……」
 響の疑問に弦十郎は、ああ、と思い出したように答えた。
「翔なら、ランニングのついでに、翼への見舞い品を買いに行っている。なんでも、すぐに売り切れてしまうくらい美味いフルーツゼリーがあるとか……」
「そう、ですか……」
「……何か、悩み事か?」
「えっ!?いっ、いえ、別にっ……!」
 図星を突かれ、響は一瞬動揺しながらも平静を保とうとする。
 今、彼女の中で渦巻いているもの。それは昨日の夜、自覚したばかりの恋心。
 こればっかりは翔本人に相談するわけにもいかない。かと言って、誰に相談すればいいのかも分からず、響は悩み続けていた。
 
「なんなら、俺が相談に乗ってやろう」
「えっ、師匠がですか!?」
「おいおい、俺は君の師匠なんだぞ?それに、君より大人だからな。人生経験なら、君や翔の何倍もある。大抵の悩みなら、助けになるかもしれんぞ?」
 そう言われ、響は考える。困った時は、大人に頼るのが一番だ。
 特に、尊敬する師匠である弦十郎であれば、相談相手として不足はないだろう。
 そう考えた響は周囲を見回し、翔が帰って来ていない事を確認してから、打ち明けた。
「翔くんには絶対、内緒ですよ?」
「ん?ああ、勿論だとも。あいつに言えない悩みなのか?」
「はい、実は……」
 
 ∮
 
「見つけた……最後の一個!」
 息を切らして入店した洋菓子店のレジ前。その小さなテーブルの上に並べられていた容器の山は既になく、残るは最後の一つだけだった。
 姉さんのお見舞いに持っていこうと決めた、1日30個限定フルーツゼリー。
 みかん、ぶどう、マンゴー、ピーチ、リンゴの5種類の味があり、使用されているフルーツはどれも、届いたばかりの新鮮な一級品……。
 女性人気が高いだけでなく発売以来、お見舞い品としても重宝されている商品らしい。
「ラッキーだ。あとはあれをレジに持っていけば……」
 机に近づこうとした時、その希望は目の前で摘み取られた。
 客の1人が、俺より一歩先にその最後のゼリーを手に取ってしまったのだ。
「ッ!」
「ん?……少年、もしかしてこれ欲しいのか?」
 ゼリーを手に取ったお客さん……ツンツンした黒髪で、黒地に白い線で龍が描かれたTシャツとジーンズを着た男性がそう聞いてくる。
「いえ……先に取ったのはそちらですし……」
「いいよ。俺は別にお見舞いってわけじゃないし。美味しそうだったから、買いに来ただけさ。でも、君は多分お見舞いに持ってくために、このゼリーを探してたんだろう?」
 そう言って、その人は俺に最後のゼリーを手渡す。
「なんで分かるんですか?」
「君、風鳴翼の弟さんだろ?新聞で見た事あるよ」
 その人は少し声を潜めると、ニカッと歯を見せて笑った。
 ああ、そうか……自分がそこそこメディアに露出する人間だった事を思い出し、苦笑いする。
 姉さんほど定期的に載るわけじゃないから、あんまり騒がれないだけなんだよなぁ。通行人とすれ違ったら、ヒソヒソと盛り上がり始めた……という事はちょくちょくあるけど。
 
「さしずめ、入院中のお姉さんに、単なる人気スイーツというだけでなく見舞い品としての価値も高い、この店のフルーツゼリーを食べさせてあげようと走って来た……とか?」
「ほ、殆ど合ってる……。あなた、一体?」
「なに、初歩的な事だよ。そら、これは君のものだ。お姉さんが早く元気になれるよう、俺も祈っているよ」
 そう言ってその人は、店の奥へと歩き去ってしまった。
 なんか、かっこいい人だったな……。店の奥でケーキを選んでいる、綺麗な金髪をツインテールに結んだ彼女らしき人の隣に並ぶ後ろ姿が、見ていてとても微笑ましく感じる。
 お礼を言いたいけど、邪魔しちゃ悪いだろうな。また今度、ここに来た時に会えるといいんだけど。
「お会計お願いしまーす」
 そう思いながら、レジの店員さんにゼリーの会計を頼み、財布を取り出す。
 ゼリーの味はみかん。……奏さんと同じ色だなぁ、なんて思ってしまったけど、それも含めて姉さんが元気になるなら、それでいいと思う。
「へ……へくしゅっ!」
 その時、急に鼻がムズムズして来たので慌てて口を腕で抑える。
 くしゃみか……誰かに噂でもされているのだろうか?
 
 ∮
 
「……なるほど。つまり響くんは、翔の事を異性として好きだというわけか?」
「うう……そう簡単に言葉にして聞き返さないでくださいよ師匠ぉ……。相談してるわたし自身も恥ずかしいんですから……」
 顔が熱くなってるのが分かる。こうして言葉にすると、やっぱり恥ずかし過ぎて爆発しちゃいそう……。
「ふむ、しかし恋愛相談か……。生憎と、俺はその手の話だけは経験が無くてな……」
「ええ?師匠、恋愛経験ないんですか!?」
「ああ。あったら今頃、俺は独り身じゃなくなってる筈だろ?」
 言われてみれば確かにそうだ。うーん、師匠ならモテると思うんだけどなぁ。
 了子さんとか、絶対お似合いなのに……師匠と了子さん、お互いに名前で呼びあってるし。
「そうだな……。よし、響くん。迷える君にこの言葉を送ろう」
「ッ!はい、なんでしょう……?」
 気を引き締めて、師匠からの言葉を待つ。
 師匠はいつもの穏やかな顔で、諭す様に言った。
「相手と対峙した時、振るうべき正しい拳というものは、己と向き合い対話した結果導かれるものだという」
「……えっと、つまり?」
「大いに迷い、悩む事だ。迷いこそが己を育て、強く大きく育てる為の糧となるッ!」
「言ってる事、全然分かりません!」
 師匠の言葉はいつも通り、修行の時と同じで感覚的なアドバイスだった。
 多分、この言葉も映画からの引用なんだと思う。
「……すまんな。自信満々に豪語した割には、こんな事しか言えなくて」
 困ったような顔で笑う師匠。でも、その言葉はいつもの修行で聞いている師匠の言葉と同じように、わたしの中にストンと落ちた。
「でも……頑張って、悩んでみますッ!師匠、相談に乗ってくれてありがとうございますっ!」
「ああ。もっと本格的な相談なら、了子くんや友里に頼むといい。俺より具体的なアドバイスが貰えるはずだ」
「今度、時間がある時にそうしてみますね!」
 こうして、わたしはその日の特訓メニューを終えて、寮へと戻って行った。
 急ぐ必要は無い、もう少し悩んでみよう。この胸に芽生えた気持ちを、伝えるべきかどうかを……。 
 

 
後書き
それぞれが道に迷い、別の大人と出会い、答えを見出す。
例のモブの割に目立ってたあの人については、いずれの機会に。

了子「翔くんと響ちゃんを見守り隊、定例会議~」
友里「それで、今回の報告は?」
職員A「はいはーい!デュランダル移送の前夜、仲良く2人で夕飯してました!」
藤尭「ああ、しばらく職務より優先させてたあれね……」
職員A「藤尭さんは黙っててください!」
職員B「でも響ちゃんのお腹じゃ物足りないだろうと思って、食べ終わった後にコンビニ弁当を2人分、差し入れておきました」
黒服A「ちなみに何弁を?」
職員B「チキン南蛮弁当とさば味噌弁当を!」
黒服A「分かってるじゃないかヒャッホーウ!流石は職員Bだぜ!」
黒服B「2人の弁当の中身を敢えて別にする事で、おかずの交換を促すその作戦。お見事ですね職員B」
監視員「その様子なら監視カメラにバッチリ映ってるッス!」
職員A「よくやったわ監視員くん!後で上映会よ!」
友里「皆、テンション高いわね。あ、その後ソファーで寝てた2人に毛布をかけたのは私よ」
職員A「さっすが友里さん!気が利いてますね!」
藤尭「やれやれ、ホントこの集まりって毎回騒がしくなるよなぁ。僕は買い出しのついでに、お泊まり用の歯ブラシセットを買って来る事になったぐらいかな」
職員B「うっわ藤尭さん羨ましい!」
黒服A「俺だってあの2人のための使いっ走りになりたい!」
了子「ふっふっふ~、甘いわねあなた達。これを見なさいッ!」(こっそり撮っておいた例のシーンの動画を見せる)
黒服B「こっ、この映像は!?」
藤尭、友里、職員の皆さん「一緒に寝ている瞬間……だとぉ!?」
黒服B「さっ、さすがは了子さん……余念が……ない……」
黒服A「くっ、尊さのあまり黒服Bが倒れた!」
職員A「あっ、尊い……は?無理、尊い……好き……」
監視員「職員Aさんが限界ヲタクになってるッスよ!?」
職員B「翔くんと抱き合って眠り、起きたら恥ずかしさで真っ赤になり悶える響ちゃん……そして、起きた後で慌てて離れる翔くん……。くっ、肉眼で見れた了子さんが羨ましいッ!」
了子「ふっふ~ん、隊長特権よ!緒川くん、翼ちゃんの反応はどうだった?」
緒川「了子さんが意味深な言い方するから、翼さんに無駄な心労をさせてしまったのは心苦しいですが……。再生中は真っ赤になりつつも、響さんが真っ赤になって慌て始めたシーンでは、可愛い義妹を見守る義姉の顔になってましたよ」
職員一同「とうとう姉公認、だとぉ!?」
藤尭「なんか、司令の口癖伝染ってってない!?」
緒川「それ以上に、この集まりって一体何なんでしょうね……」(苦笑)
了子「そりゃあ勿論、これを見ている皆の代弁よん♪」(明後日の方向を指さす)
友里「……え~っと、了子さん?」
藤尭「何処を指さしているんだろう……?」

次回もお楽しみに! 
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