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星河の覇皇

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第七十二部第四章 気付きだした者達その二十九

 リンクは実際にエウロパの治安をよりよくしていくことに熱意と能力を注ぎ込んでいた、だがその彼をだ。
 総統官邸で見た他の省庁の、警察庁を管轄している内務省の官僚達もだ。怪訝な顔になってこう話した。
「何時見てもな」
「剣呑な方だ」
「捜査の為には手段を選ばない」
「過激な手段も行う」
「謀略さえもだ」
「何でも使う」
「危険な人物だ」
 こう言うのだった。
「切れ者だが危険だ」
「盗聴も得意としているしな」
「マフィアが経営する怪しいホテルに盗聴器を仕掛けたらしい」 
 そうして情報収集を行ったのだ、こうしたホテルは昔は売春宿と呼ばれていたものだ。
「時にはそうしたホテルを密かに買い取り情報収集もしたとか」
「そして失敗した者には厳しい」
「部下にも極めて厳格だ」
「規律も能力も求めてくる」
「今のエウロパ警察は大変だ」
「あまり入りたくはないな」
「全くだ」
「冷酷過ぎる」
 リンクの人間性はというのだ。
「しかも苛烈だ」
「エウロパの治安を向上させることはいいことだが」
「しかしその手段が汚い場合も多い」
「しかもその汚さを汚さと思わない」
「手段の一つとしか思っていない」
 それがリンクだというのだ。
「幸い謀略は犯罪者にのみ使うが」
「ご自身の為には使わないにしても」
「極端過ぎる」
「しかもその極端な謀略を極めて冷徹に行う」
「その時に最も有効な手段を行う」
「どの様なものでもな」
「非人間的なこともされるしな」
 このことも話された。
「これでは犯罪者が減るのも当然だ」
「あそこまでやればだ」
「幸い警察の行動から逸脱はしないが」
「好きになれないな」
「全くだ」 
 こう言うのだった、エウロパ警察の漆黒の制服に身を包んだ彼を。黒いブレザーにズボン、ブーツと赤いネクタイに白いブラウスに所々銀がある制服にはかなりの威圧感がある。階級は警察庁長官であり軍ではエウロパ元帥待遇だ。
 その彼の評判はこうしたものだ、だが。
 彼はその自身の評判についてだ、こう言うだけだった。
「それがどうしたとだ」
「その様にですか」
「言われますか」
「私は結果を重視しているのだ」
 警察官僚達に冷徹な声で述べたのだった。
「その結果を出す為にだ」
「必要なことをされている」
「それだけだというのですね」
「そうだ」
 まさにというのだ。
「だからだ」
「このことはですか」
「何と言われてもですか」
「いい」
「そうなのですか」
「警察は内部の評判なぞ気にしてはならない」
 やはり冷徹な声で言う。
「市民から愛される必要もない」
「連合の警察とは違い」
「そうしたものも求めませんか」
「警察と市民の交流もだ」
 そうしたこともというのだ。
「いい、必要なことはだ」
「犯罪者を検挙して、ですか」
「犯罪件数を減らす」
「万全の治安を確立する」
「このことに専念すればいいのですね」
「愛されていて治安が悪いなぞだ」
 それこそというのだ。 
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