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八条学園騒動記

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第五百三十六話 山に行くとその九

「景色をじゃ」
「そっちもか」
「楽しめっていうんだね」
「うむ、折角旅行に来たのじゃ」
 それならというのだ。
「景色も楽しまねばならん」
「旅行は景色も大事だってことだな」
「その通りじゃ」
 博士はライゾウに即座に答えた。
「むしろ景色とそこにあるものに食事とな」
「色々楽しまないといけないか」
「それで景色もじゃ」
「ちゃんと見て楽しめっていうんだな」
「うむ、では見ようぞ」
「それじゃあな」
 ライゾウは博士の言葉に頷ぎ絨毯の上でくつろぎながら景色を楽しむことにした、そうしてだった。
 タロと共に絨毯の上で寝そべりながら周りを見た、そうしつつ優雅に紅茶を飲みつつ景色を楽しんでいる博士に尋ねた。
「ちょっといいか?」
「どうしたのじゃ」
「赤城山は何処だよ」
「もう入っておる」
「何だよ、ここかよ」
「そうじゃ、それでそろそろな」
 博士はライゾウにさらに話した。
「出て来たところじゃな」
「あの白装束の一団がか」
「うむ、この辺りに出て来たのじゃ」
 そうだというのだ。
「あの者達はな」
「そうなんだな」
「それじゃあね」
 タロは絨毯の上から景色を見た、山道の少し先にドライブインもありそこに車が十台位停まっているのが見えた。
 それを見てだ、タロは言った。
「あそこにいるから」
「ドライブインにか」
「博士今この辺りって言ったから」
 それでというのだ。
「あそこにいるかなって思ったけれど」
「あそこにはおらんな」
 博士はタロにはっきりと答えた。
「この辺りの道を歩いておった」
「そうだったんだ」
「動画ではな」
 博士が観たそれではというのだ。
「そうであったからな」
「この辺りでもだね」
「ドライブインにその様な連中がおればな」
 白装束の謎の一団つまり如何にも怪しい連中がいればというのだ。
「それこそじゃ」
「それこそ?」
「もっと大騒ぎになっておる」
「動画どころじゃないんだ」
「左様じゃ」
 博士は紅茶を一口飲んでからタロに答えた。
「その通りじゃ」
「じゃあこの辺りを飛んでだね」
「いや、ここまで来ればじゃ」
 博士はここでスマートフォンを取り出した、そのうえでタロだけでなくライゾウに対しても話した。
「これを使ってじゃ」
「スマートフォンだよな」
「一見ごく普通の」
「うむ、只のスマートフォンではない」
「博士が開発したんだな」
「例によって」
「そうじゃ、そんなものだからな」
 それでというのだ。 
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