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おぢばにおかえり

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第五十五話 おぢばのバレンタインその七

「買ってきた特別なのを」
「いいことだよ、それじゃあね」
「それじゃあですか」
「もう来てるから」
 それでというのです。
「あげてね」
「来てるっていいますと」
「彼がね」
「誰ですか、その人」
 そう言われてもわかりませんでした、それで白石さんに尋ねました。
「一体」
「うん、今そわそわしてそっちにいるよ」
 詰所の事務所から見て左手のお部屋を見てのお言葉でした、そこには詰所でも一番大きなお部屋があります。
「行ってみる?」
「そわそわですか」
「どうするのかな」
「いえ、誰か気になりますけれど」
 このことは事実でもです。
「誰かにあげるにしても」
「考えてなかったんだね」
「義理チョコはあります」
 それはです。
「詰所の皆さんに」
「わしにもかな」
「はい、白石さんの分も」
 実際に買ってきているのでこう答えました。
「あります」
「有り難うね、それで一番いいチョコは誰にあげるのかな」
「どうしましょう、前の大教会長さんは」
「甘いのはね」
「お酒好きでしたよね」
「大好きだからね」
 日本酒派だそうです、とにかく奥華の前の大教会長さんについては凄い逸話が一杯あったりします。
「チョコレートはね。今の大教会長さんはいいけれど」
「今の大教会長さんはお好きですか」
「食べられるよ、しかしね」
「しかし?」
「大教会長さんはもう奥さんおられるから」
 小柄で童顔で奇麗な人です、しかも穏やかで親切な人です。 
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