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おっちょこちょいのかよちゃん

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23 イチかバチかの隙狙い

 
前書き
《前回》
 丸岡修にオリガとの闘いは続く。オリガの一瞬で生物を殺める能力と丸岡の思いのままに認識し、どんな行為にも矛盾を発生させる能力に苦戦するかよ子達。そんな時、長山が攻略法を見出したようで・・・!? 

 
 三河口と北勢田は御守の力を行使した。
「さすが、おばさんのお守りが効いたよ」
「何が起きたんだよ?」
 北勢田には何が起きたのかさっぱり解らなかった。
「ああ、奴が地面に穴作ってかよちゃん達を落とした時、この御守がそれを途中で止めたんだよ。このままだとあの子達は地球の内部へ落ちて二度と戻れなくなる所だった」
「そうだったのか」
「そろそろ御守の他の能力(ちから)を行使しよう」
「他の能力(ちから)ってどんな物だよ?」
「『あいつら』を抑える事さ。かなりの強敵だからその分、体力にも負荷がかかるぞ。覚悟はいいか?」
「ああ、もちろんいいさ」

 長山は先程の丸岡のしくじりで思いついた。丸岡が認識術を発動させない所を狙えばいい。だが、丸岡もオリガと同様、簡単にそれは狙いにくい。丸岡は隙を見せる事がないし、彼自身も隙を突かれないような対策をしている筈である。
(そうだ!!)
 長山は最後の手段を思いついた。だが、それは非常に危険すぎる。失敗する可能性の方が高い。だが、一か八かでやるしかない。
 かよ子は丸岡を妨害しようと策はないかと考えた。
「ちょっと、このお!燃やしてやるよお!!」
 まる子が炎の石の力を行使した。炎が丸山を襲う。だが、丸岡は矛盾術を使う。人間は普通炎に当たると体は燃えてしまうのだが、丸岡は自身の能力で燃える事はなかった。
「何無駄な事を。俺の認識術と矛盾術は簡単に破れんぞ。お前らに勝ち目はない!!」
 その時だった。丸岡は誰かに突き飛ばされた。
「あ、な、長山君!!」
 かよ子は長山が丸岡に体当たりして来たのを目撃した。
「この、やめろ!」
「こいつ、ナメたマネを!」
 丸岡は認識術でもう一度、長山を己が物にしようと認識術を行使した。しかし、今度は何故か効かなかった。
「な、何故だ!?」
 そしてオリガにもかけた認識術が弱まっていく。オリガが山口の毒矢によって再び弱まっていく。
「う、う」
「オリガ!」
「さくら、こいつを燃やせ!!」
「うん!!」
 まる子は大野に言われて炎の石の能力(ちから)を行使し、オリガに火炎放射した。
「こ、これでやられる訳にはいかないわ」
 オリガは己の(ちから)でまる子の火炎放射から防ぐ。だが、石松が刀をその炎かざし、別方向から刀についた炎をオリガに向けて切り込みに行った。
「なんの・・・。これでやられるわけないわよ。真正面からの攻撃は私には効かないのだから」
 だが、その時、かよ子もまた己の杖を石松の刀にについた炎に向け、炎の能力を手に入れて、また別方向からオリガに向けて炎を放っっていた。
「え・・・?あ、あああーーー!!」
 オリガは熱さで苦しむ。だが、皆の攻撃は続く。そしてオリガは燃えつきた。炎が燃え尽きると、オリガの焼死体はなく、代わりに光の粉が出て天へと昇って行った。前にかよ子が杉山と大野と共に倒したアレクサンドルとアンナの兄妹と同じように。
「こ、こいつら・・・!!」
 丸岡はオリガを失った為か冷静さを失った。先ほどのオリガにはいかなる攻撃も一切通用しなくなるう認識術がいつの間にか効かなくなり、それどころか自身の能力がいつの間にか無効化されたた為ある。それも誰によってなのか。あの子供達に自身の力を無効化できるはずがない。では一体誰がやったのか。
「さて、次はお前の番だな」
 杉山は丸岡を睨む。それに続いてその場にいる皆が丸岡を睨んだ。丸岡はこれでは蜂の巣の中にいるような状態と見て己の目的だった長山の奪取もこれ以上実行しようとはしなかった。
「くそ、なぜ俺の能力(ちから)が破れたのかは知らんが、覚えてろ!!」
 丸山岡は情けなくこの場を走り去った。
「この野郎!」
 杉山は雷の石の力を行使しようとする。しかし、石松がそれを止めた。
「待て、杉山さとし」
「何で止めんだよ、石松!?このまま見逃したらまた何かして来るかもしれねえぞ!!」
「ならん、あやつはオリガと違ってこの世の人間だ!ここで奴も殺めたらお主が裁かれてしまうぞ!」
「く、くそ!!」
「それにあやつは今はこれ以上は攻める事はできん。また来たるその時にまた懲らしめればよい。如何にせよ、あの長山治とその妹の長山小春を守る事ができたのだからな」
 長山とその妹が来た。
「皆、ありがとう。そして貴方は一体?」
「某は森の石松。お主の友に力を分け与えた者だ。この四人が持つ石はまさにそれである。そしてこの者達が持つ武器も平和を主義とする者から貰った物である」
「山田の杖は・・・?」
「山田かよ子の杖も平和を主義とする世界からの物だ。だが、この世界が異世界がぶつかり合う前から持っていたようだが」
「うん、元々はお母さんが持っていたんだ・・・」
「そうか、お主の母上が持っていたのも気になるな」
「うん、今度聞いてみるよ」
「皆の者、大健闘ご苦労だった。各々の家に帰るとよい」
「でも、丸岡が待ち伏せして襲ってくる可能性はないのか?」
 杉山が聞いた。
「それはなかろう。お主らによって丸岡修の計画は潰れたのだからな。今の奴も能力は使えまい」
「でも丸岡の能力はとても強力じゃないの?」
「もしかして僕が丸岡に体当たりして邪魔したからかい?」
「いや、それだけで奴の能力が弱体化したわけではない。他の者がどうやら弱体化させたらしいな」
「誰なんだろう?」

 三河口と北勢田は御守りの力を最大限に行使した。だが、体力をかなり持って行かれたために、二人共体がへろへろでしゃがみ込んだ。
「何とか、やったな・・・」
「ああ、あの男も尻尾を巻きやがったぜ。北勢田、追いかけるか?」
「ああ、俺の手でボコボコにするよ!」

 丸岡はまさかの敗走に心を取り乱した。計画は失敗し、オリガは倒され、そして自身の能力がなぜか無効化された。最も気になる事がなぜ簡単に破れるはずがない己の能力がなぜ敗れたのか。その時・・・。
「よお、何でお前の能力が無効化されたか知ってるか?」
 後ろから声がした。
「な、何だ、お前ら!?」
 丸岡は振り向くと、二名の高校生くらいの男子がいた。
「俺は三河口健。凡人(ひと)と違う能力を持って皆から嫌われ、この静岡県の清水に逃げてきたクズ野郎だよ」
「おめえの能力(ちから)はこの御守りで潰してやったぜ!」
 北勢田は三河口の叔母から貰った御守りを丸山に見せた。
「この野郎・・・!!」
「こいつは近所の子がお前にさらわれると知ってブチ切れてるぜ」
「こ、この・・・」
 丸岡はその御守りで自身の能力は無効化されないという認識術や御守りで無効化される事が上手くいかないようにする矛盾術を試行した。
「この御守りはお前の認識術も矛盾術もそのものをなしにしちまうからどう設定したって無駄だぜ」
「くそ!!」
 丸岡はピストルを取り出しで二人のお(つむ)に穴を開けようとした。だが、その前に北勢田が走って近づいて丸岡に飛び掛かって左頬を殴った。
「調子のんじゃねえぞ!!」
 続いて三河口が歩いて迫る。丸岡は発砲した。しかし、(たま)は三河口を撥ね返し、丸岡を狙う。丸岡の手首に当たった。
「俺に悪意を持たせた奴には天罰がくだるのがオチだ。お前はどんな仕返しを喰らうか知らんよ」
 その時、丸岡は急に吹き飛ばされた。そして清水市から隣の静岡市へと飛び、電柱に背中をぶつけて住宅街の路地に落下していった。 
 

 
後書き
次回は・・・
「動き出す者達」
 オリガは倒し、丸岡は清水から追い出された。かよ子は今後の清水の未来が脅かされ続ける事に懸念を続ける。そして丸岡のいる『組織』では、新たなる動きが・・・。 
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