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おっちょこちょいのかよちゃん

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22 認識と矛盾の脅威

 
前書き
《前回》
 かよ子と長山、オリガと丸岡との闘いに森の石松、隣町の学校の組織「義元」、そして杉山達組織「次郎長」が加わった。三河口と北勢田もたどり着き、戦闘の準備を行う。かよ子達は長山を守る事ができるのか!? 

 
 三河口と北勢田は小学生達の奮闘を見守る。
「北勢田、どうだ、あの子達を見て。やられているように見えるか?」
「いや、全く見えない。寧ろ感謝したくなるくらいだよ。俺達の出番、いらないかな」
「だが、この戦いは非常に激しいものになる。俺達も支度を忘れんようにしないとな」
「ああ、分かってる」

 かよ子は丸岡を相手に立つ。まる子、ブー太郎、すみ子、そしてヤス太郎も加勢した。
「やい、お前!さっさとこの町から出ていけブー!」
「ふん、簡単に出て行けるわけがなかろう。清水(ここ)にはいい材料がそろってんだからな。できればお前らも俺達の為に動いてくれれば光栄だがな」
「バカ言ってじゃないよお!かよちゃんをこんな目にしてえ!!」
「だが、この山田かよ子は凡人とは明らかに違う能力を宿している。さっきのオリガの瞬殺攻撃が効かなかったんだからな」
「でも、私は・・・!!」
 かよ子は言葉に詰まった。途中、何を言おうとしていたのか。
「・・・ただのおっちょこちょいだよ・・・!!」
「そうだな。それはお前の持っている能力(ちから)の代償とも言えるものだ。お前のその杖を使いこなせるのだからな」
 かよ子は丸岡の言葉からなぜ自分がこの杖を使用しているのかを一瞬顧みた。この杖の説明書たる本の文字は普通の人間では分からないものだった。だが、かよ子はその文字を読めた。そしてこの杖を使用している。もしあの文字が読めなかったらここで戦う事もできず、この杖もただの棒でしかない。
「この杖の事を知ってるの?」
「ああ、俺には分かる。その杖が平和を望む者が使用するためにあるものだからな。それにお前らが持ってるその石やパチンコ、銃もそうだ。だが、それではこの日本は弱体化の一途を辿る事になる。それを今すぐ捨てろ!!」
「お前の命令なんか聞かないでやんす!」
「なら力づくでお前ら諸共倒す!」
 丸岡は頭の中でかよ子達が立っている地面を見てすぐにそこに底なしの穴ができて皆落下死する事を思い浮かべた。そして現実化させた。かよ子、まる子、ブー太郎、ヤス太郎、すみ子は急に足元に落とし穴ができて下に落ちた。
「あああああああああああーーーーーーーーー!!」
 皆の悲鳴がこだましてそして消えた。
「あっけなく終わったか・・・」
 丸岡は長山に接近する。
「さあ、長山治!!俺の仲間になれ!」
「い、嫌だ!!」
「無駄だ。俺の認識術でお前は俺の仲間にならなければいけないという気持ちになる」
 丸岡は頭の中でこの博識な少年が自分の仲間になるといい事が起きると思わせるよう想像した。そして長山は丸岡の思う通りにされる。
「わ、わかった。仲間になるよ。何でもするよ・・・」
 その時、小春が止めに入った。
「おにいちゃん、いやだ、こはるをおいていかないで・・・!!」
「小春・・・」
 だが、長山は行こうとしてしまう。
「でも、お兄ちゃんはこの世界を変える為にあの人と一緒に行かなきゃいけないんだ」
「いやだ、いやだよ・・・!!」
 丸岡は己の計画が成功に近づいたと実感したた途端、急に体の近くで爆発が起き、吹き飛ばされた。
(な、何だ!!)
「簡単に長山君は渡さないよ・・・!」
 山田かよ子の声がした。丸岡は吹き飛ばされた衝撃の痛みに耐えながら必死で後ろを振り向く。そこに先ほど地の中に落としたはずのかよ子達がいた。

 三河口はかよ子達が地中へと姿を消していく姿を見た。
「北勢田、おばさんから貰ったお守り使うぞ!」
「え!?あ、ああ・・・!!」
 三河口と北勢田は三河口の叔母から貰ったお守りを取り出した。

「な、何で、お、お前らが・・・!!」
 丸岡は先ほど地中に入れたはずのかよ子達がその場にいて驚いた。
「落ちた時に急に止まってね、それでヤス太郎君の浮き玉で浮いて戻って来たんだよ!なんで止まったかは私達にも分からないけど・・・」
「それでオイラの火薬玉で爆発させたのでやんす!!」
 その時、長山は我に返った。
「い、一体、僕は何を・・・」
「おにいちゃん・・・!!」
 小春は泣きながら兄にすり寄った。
「こ、この野郎・・・!!」

 一方、大野、杉山、山口、川村はオリガを相手としていた。
「君達、オリガは一瞬で人を殺せてしまうんだ!目に見えないようにした方がいい!」
「なら俺が行くぜ!」
 川村はバズーカを発砲した。周囲が煙に包まれる。オリガは再び彼らの姿を見失った。指を鳴らしても狙いが定まったのかさえ分からない。
(ど、どこにいるのかしら・・・?)
 その時、蔓が伸びてきてオリガの体に巻き付き、目隠しされた。
「相手が見えなきゃ殺せねえよな」
 一人の少年の声がした。大野が草の石の力で蔓を操っていたのだ。もちろんオリガには大野がどこにいるか分からなかった為、オリガ自身はその攻撃を防ぐことはできなかった。
「よし、これでとどめだ!!」
 山口が矢を放つ。その矢は毒矢としてオリガの背中に刺さった。オリガは自分自身の力が抜けていくように体が弱くなっていくことに気付いた。
「オリガ・・・!!」
 丸岡はオリガがやられる所に気付き、オリガは不死身の体であると周囲に認識させるようにした。すると、オリガはくたばる事はなかった。
(丸岡の認識術ではオリガも丸岡もどっちも倒せない・・・!!)
 長山はどうすべきなのか考えた。その時、先程の自分が催眠術を掛けられたかのように丸岡の仲間になる要求に従う事になっていきそうになった事を振り返った。そこで丸岡がヤス太郎の火薬玉の衝撃にやられた時、その認識術が途切れた事に気がついた。
(そうだ、途中で不意打ちをすれば・・・!!)
 長山は攻略法を見つける事ができた。 
 

 
後書き
次回は・・・
「イチかバチかの隙狙い」
 丸岡やオリガの弱点に気付いた長山。かよ子達はオリガ、そして丸岡を上手く倒す事ができるのか。そして、その決着が着いた時、二人の高校生が裁きを下す・・・。
  
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