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星河の覇皇

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第七十二部第三章 ジャバルという男その十六

「やはり、ですが若くしてそこまで至るには様々なものがある筈です」 
「かなりですね」
「危ういものも持たれていますね」
「危険かも知れないですね」
「謀略なり野心を」
「そうしたものも」
「そうだと思います」
 こう話した。
「そのことも見る為にも」
「ジャバル主席と会われる」
「そうされますか」
「アウトカースト層のマウリア社会への復帰については」
 サントスはまた言った。
「ジャバル主席もかなり動いたそうですね」
「クリシュナータ主席に協力する形で」
「そうだった様ですね」
「そしてそのうえで、ですね」
「実現されましたね」
「何故復帰の為に動かれたか」
 しかも積極的にだ。
「そこも気になりますね」
「左様ですね」
「アウトカースト層のことも考えてでしょうが」
「ご自身の思惑もあるなら」
「それも探って知りたいところですね」
「目、ですね」 
 こうもだ、サントスは言った。
「お会いした時に目を見れば」
「そこからですね」
「その人の考えや気質がわかる」
「目を見ればですね」
「目は全てを語ります」
 目は口程にものを言う、この言葉から来るものだった。連合だけでなくエウロパにもこうした考えが存在しているのだ。
「これは事実です」
「目ですね」
「そこが実にですね」
「見るべきところですね」
「ジャバル主席の目を」
「不思議なことにです」
 こう前置きしてだ、サントスはこうしたことも話した。
「それが肉体の目でなくです」
「機械の義眼でもですね」
「出ますね」
「はい、その場合でも」
 この時代は盲目でも機械の義眼を使用したりクローン技術を使った目を入れてそうして見ることが出来る。人類はこうして盲目だけでなく他の肉体の欠損も克服したのだ。
「その人が出ます」
「目にですね」
「その人が」
「まさにですね」
「目程です」
 まさにというのだ。
「その人を語るものはないです」
「言葉以上に」
「目はですね」
「その人がどういった人か語る」
「そうなのですね」
「立派な人の目は光が強く澄んでいます」
 孟子にもある言葉をだ、サントスは出した。ただしサントスもエウロパの人間なので連合の書は読んではいない。
「そして逆にです」
「悪人の目はですね」
「違いますね」
「濁って澱んでいます」 
 やはり孟子にある言葉である、ただし孟子を知っている人間が実際に目を見てそれで人間を見極められるかどうかというとそうとは限らない。
「そうなっていて野心家の目はです」
「野心家の目である」
「そういうことですね」
「極めて強い光ですが」
 優れた資質も持っている野心家、それはというのだ。
「ギラギラとしたです」
「そうした光ですね」
「欲を強く出した」
「そうした目ですね」
「そうです、国父ブラウベルグとはまた違った」
 エウロパを代表するこの英雄は実は野心家ではなかった、エウロパ総統には救国の意志からなった部分が多いのだ。 
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