| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

八条学園騒動記

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第五百三十四話 宇宙の旅その五

「そう思わんか」
「全く思わないぜ」
「そんな考え誰も支持しないよ」
 即座にだ、二匹は博士に答えた。
「殺人をそうして正当化するとかね」
「常人の考えじゃないだろ」
「わしは人間ではない」
 そもそもとだ、博士は言い切った。
「だからじゃ」
「それでかよ」
「そんなこと言うんだ」
「そうじゃ」
 まさにという返事だった。
「だからじゃ」
「そう言うんだな」
「殺人も趣味だって」
「それで生きていても仕方ないならか」
「楽しみの犠牲になれって」
「糧じゃ」
 そこは自分で訂正する博士だった。
「それになるべきなのじゃよ」
「そして実際にか」
「殺してるんだね」
「その通りじゃ」
 博士は胸を張って答えた。
「それがわしのポリシーじゃ」
「何ていうかな」
「本当に博士ってマッドサイエンティストだね」
 二匹は博士の言葉を聞いてこう思った。
「それも根っからの」
「この宇宙最初で最悪のな」
「そうした人だね」
「全くだな」
「そういうことじゃ、それでじゃが」
 博士は赤ワインを飲みつつさらに言った。
「二匹共上野星系のことは知っておるか」
「いや、全然」
 ライゾウは博士の今の問いにはあっさりとした口調で答えた。
「行ったことないからな、一度も」
「僕も。名前は知ってるけれど」
 タロも答えた。
「それでもね」
「知らんか、二匹共」
「日本の星系の一つとは知っていても」
「それ以外は知らないぜ」
「結構マイナー?」
「そんな星系だよな」
「そうか、まあ実際にな」
 上野星系はどうかとだ、博士は二匹に答えて述べた。
「播磨から見ればな」
「マイナーか」
「そうした星系なんだね」
「そのことは事実じゃ」
 紛れもなく、というのだ。
「実はわしもここ最近行っておらん」
「そういえば博士旅行も好きだね」
 タロは博士のこのことについて指摘した。
「そうだったね」
「うむ、趣味の一つじゃ」
「やっぱりそうだよね」
「旅はよい」
 博士はタロに笑顔で話した。
「普段とは違ったものを目にして学んでじゃ」
「いい体験が出来るね」
「しかも美味いものも楽しめる」
 旅行先のそういったものもというのだ。
「だから旅は好きじゃ」
「そうだよね」
「それで上野星系には百年前に行ったが」
「そこからはだね」
「行っておらん」
 この百年はというのだ。
「人の世は百年あれば随分変わる」
「じゃあ今の上野星系については」
「ネットや本では知っておるが」
 それでもというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧