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おぢばにおかえり

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第五十五話 おぢばのバレンタインその二

「それでもね」
「作ってあげたことはないのね」
「一度もね」
「それは残念ね」
「残念なの?」
「そうした経験ないことは。けれど何事もはじめないとはじまらないから」
 このことはわかります、何でもまずははじめることです。はじめないと何でも出来る様にもなりません。
「ここではじめることね」
「誰かにあげることを?」
「そう、やってみたらいいのよ」
 こう私に言ってきました。
「ここではじめてね」
「ううん、それじゃあ」
 ここで私が思った人はといいますと。
「詰所の人達、お父さんに信者さん達に」
「教会の?」
「そうかしら」
「はい、アウト」
 私にすぐに言ってきました。
「それはね」
「えっ、駄目なの」
「駄目も駄目もね」
 それこそというです。
「ちっち本当にわかってないわね」
「何がわかってないの?」
「そうした人達にあげるのは普通でいいのよ」
「普通っていうと」
「義理でいいの、それこそ軽くね」
 それでいいというのです。
「百円位の」
「それでいいの」
「そう、いいのよ」
 それでというのです。
「けれど一人にはね」
「あげるというの」
「真剣なのをね」
「好きな人にあげるみたいな?」
「そうしたことよ、そうしないと」
 私に真剣に言うのでした。
「ちっちも成人しないわよ」
「そうかしら」
「そう、誰か一人には特別にあげたらいいわ」
「そう言われても」
 今の私にはでした。 
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