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八条学園騒動記

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第五百三十三話 天本博士と謎の集団その九

「おそらくあらゆる精神世界の中で最大であろう」
「そうですか」
「そうじゃ、だからな」
 それでというのだ。
「光年で表してもじゃ」
「その大きさについては」
「そうそうは言えぬな」
「大き過ぎてですね」
「この宇宙の大きさもわからぬであろう」
「光年で言っても」
「途方もないな」
「はい、それがですね」
「その宇宙を額に置いているのだからな」
「じゃア宇宙自体で言うと」
「まあ百個分か。体積で言うとな」
 博士は野上君に言った。
「どうじゃ」
「もっといきますね」
「さて、どれ何万かのう」
「宇宙が何万ともなると」
「見当がつかぬじゃろ」
「どうにも」
 野上君は首を傾げさせるばかりであった、何しろ宇宙の大きさという時点でピンとこなかったからである。
「わからないです」
「そうじゃろ、まあわしならな」
「博士ならですか」
「わかるがのう」
「二百億年生きておられて」
「IQ二十万は伊達ではないぞ」
 普通の人間の二千倍近い、尚連合の知能指数の平均はエウロパより少しだが高く連合はこのことからもエウロパにあれこれと言っている。
「だからじゃ」
「そうしたこともですか」
「わかる」
 実際にというのだ。
「わしにはな」
「それは凄いことですね」
「わしだからな、しかしじゃ」
「しかし?」
「本当にメカバハムートを造れぬ理由はな」
「簡単だっていうんですね」
「そうじゃ」
 今言った通りにというのだ。
「何でもない」
「そうなんですね」
「あとじゃ」
「あと?」
「イスラムでは難しい問題がある」
「ああ、偶像崇拝ですね」
 このことは野上君も知っていることだ。
「あのことですね」
「だから絵もじゃ」
 こちらの芸術もというのだ。
「発展せんかった」
「そうでしたね」
「そしてじゃ」
 博士はさらに言った。
「彫刻もな」
「彫刻といいますと」
「ロボットもな」
 これもというのだ。
「それがコーランに対するものなら」
「難しいですね」
「うむ、しかしじゃ」
「博士は」
「わしはムスリムではない」
 これが返事だった。
「精神世界は大事にするがな」
「それでもですね」
「別に魚をメカとして再現してもな」
「それならですね」
「特にじゃ」
 れこといってというのだ。
「悪いとは思わぬ」
「イスラムはその辺り難しいですけれどね」
「偶像崇拝を禁じておるとな」
 この戒律があると、というのだ。 
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