八条学園騒動記
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第五百三十三話 天本博士と謎の集団その一
天本博士と謎の集団
天本破天荒博士は連合最悪のマッドサイエンティストとして知られている、その為中央政府からも各国政府からもテロリスト認定され警告なしでの攻撃対象とされている。
だが博士はそんなことは気にも止めていない、それで自身の研究室で今の助手の野上君にこんなことを言った。
「わしはずっと日本におってな」
「日本のこともですね」
「よく知っておる」
テーブルに座ってパソコンでネットをしつつ話すのだった。
「実にな」
「日本に住んでもう何千年ですよね」
「縄文時代からおる」
この時代からだというのだ。
「神武東征からな」
「って四千年前からですか」
「うむ、ただ皇紀はな」
博士は日本独特のこの暦についても言及した。
「実はじゃ」
「怪しいんですね」
「本当に四千年かというとな」
「その実はですね」
「まあそこはあえて言わんが」
「博士の興味の外のことなので」
「知っておるがな」
歴史の立会人、この立場でだ。
「それでもじゃ」
「言われないですね」
「うむ、それで日本を拠点としてな」
そのうえでというのだ。
「人類社会のあちこちを巡っておるが」
「やっぱり日本のことがですか」
「一番詳しいのう、国としては」
「そうなんですね」
「それでな、日本の上野星系のな」
「あそこですね」
「そうじゃ、あそこは日本では今一つマイナーというかな」
博士は野上君に少し微妙な顔になって述べた。
「影が薄いというかな」
「日本人の僕が言うのも何ですが」
野上君も上野星系について述べた。
「結構マイナーな星系ですね」
「そうじゃな」
「ネタにされる位に」
「秘境だの言われるな」
「実際は連合全体から見れば結構人が多くて」
野上君は今度は上野星系の現実を話した。
「そして産業もあって」
「そこそこ栄えておるのう」
「統計ではっきり出ていますね」
「うむ、しかしな」
それでもとだ、博士は野上君に答えて話した。
「ネタとしてはな」
「秘境扱いですね」
「そうした星系じゃな」
「そうなんですよね、それでその上野星系が」
「どうしたかじゃな」
「何かあったんですか?」
「あそこで謎の集団が出た」
その上野星系でというのだ。
「今ネットで話題じゃ」
「上野で、ですな」
「それで大騒ぎになっておる」
「いや、それネタですよね」
博士の話を聞いてだ、野上君はすぐに言葉を返した。
「幾ら何でも」
「そう思うか」
「はい、謎の集団って何ですか」
「頭から白い三角巾を被ったな」
そしてとだ、博士は野上君に話した。
「膝までそれで包んで道路の端を集団で歩いておる」
「宗教団体ですか?」
野上君はその話を聞いてまずはこう述べた。
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