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母の秘密

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第五章

「結局は」
「そうでしょ」
「だから落ち着いてね」
「それでやっていったら?」
「そうしたら?」
「そう考えてね」
「正直昨日の夜からお母さん見るの辛かったけれど」
 クローゼットの中を見てだ、もっと言えば母親がそうした服を着ている姿を想像してしまってだ。しかもそれが止まらなかったのだ。
「それでもなのね」
「そうでしょ、やっぱり」
「こうしたことってね」
「何度も言うけれど人それぞれで」
「どうしようもないでしょ」
「そういう小奈美ちゃんも」
 一人が本人に言ってきた。
「そういうのあるかもよ」
「コスプレとか?」
「そうした趣味がね」
 夜についてというのだ。
「あるかも知れないわよ」
「ないわよ、そんなの」
 小奈美は彼女にすぐに言った、否定の言葉で。
「私には」
「それは実際にね」
「実際にっていうと」
「夜になるとね」
「彼氏とか旦那さんと過ごさないと」
「わからないわよ、だからね」
「お母さんについてもなのね」
 言いたいことがわかってだ、小奈美も応えた。
「そういうものってことね」
「そういうことよ、というかね」
「というか?」
「SMはむしろコスプレより凄いでしょ」
 そちらの趣味はというのだ。
「そうでしょ」
「言われてみれば」
「そうでしょ、鞭とか蝋燭とか」
「ああいうのがいいなんて」
 まだ覚えたての知識からだ、小奈美は想像して首を傾げさせた。そうしてそのうえで友人に対して答えた。
「私わからないわ」
「それは私もだけれど」
「そうした趣味もあるのね」
「同性愛もね」
 こちらもというのだ。
「そうだし、中にはSMよりもさらにね」
「さらにっていうと」
「とんでもない趣味あるから」
「それどんな趣味よ」
「ええとね、スカトロとか」
「スカトロって」
 その言葉に引いたのは周りだった。
「あれはね」
「ないわね」
「あんなのいいの?」
「あれは私もわからないわ」
「私もよ」
「スカトロって何?」
 小奈美は知らなかった、それでだ。 
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