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母の秘密

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第四章

「透け透けのネグリジェとかキャミソールとか」
「そういうのもあるの」
「それはまた多いわね」
「またマニアックね」
「小奈美ちゃんのお母さんも凄いわね」
「お父さんも一緒に楽しんでるのね」
「ウェディングドレスとか浴衣もあって」
 そうした服まで母のクローゼットにはあったのだ。
「もう見ていて気が狂いそうだったわ」
「そんな筈ないって思ったら」
「実際にあって」
「それもそんなにあったから」
「余計にっていうのね」
「ええ、お母さんがね」
 こうも言うのだった、項垂れたまま。
「それもお父さんもね」
「だからそんなものでしょ」
「誰だってそうでしょ」
「人間趣味は色々っていうし」
「夜の方だってそうでしょ」
「楽しみ方はそれぞれよ」
「そう言うけれど」 
 それでもという口調での返事だった。
「目にしてみるとね」
「ショックだったっていうのね」
「どうしても」
「そうだったのね」
「そうよ、本当にショックで」
 それでというのだ。
「今冗談抜きでへこんでるわ」
「だからそういうの人それぞれだし」
「コスプレにしてもね」
「あとSMも」
「そうしたことも」
「世の中もっと変な趣味の人だっているし」
「変って何よ」
 それがわからなくてだ、小奈美は友人達に訪ねた。
「一体」
「いや、相手人間とは限らないっていうか」
「もう何人でもとか」
「そっち凄いのあるらしいわよ」
「女の人同士とかね」
「男の人同士とかでも」
「同性愛はわかるけれど」
 ただし小奈美はそっちの趣味はない、少なくとも自分にはそうしたものに興味がないと考えている。
「けれどね」
「それでもなのね」
「夜のことでも色々なのは」
「わからないのね」
「というか目で見ても」
 またこう言うのだった。
「お母さんにそうした趣味があるなんて。お父さんにも」
「だからそれぞれって言ってるじゃない」
「私達ずっとね」
「それこそ食べものの好みと同じじゃないの?」
「そうよね」
「私ハンバーグ好きだけれど」 
 小奈美の大好物の一つだ、他には八宝菜や海草サラダ、マカロニ等が好きだ。尚嫌いなものは椎茸である。
「他の皆がそれぞれ好きな食べものあるのと同じ?」
「そんなものでしょ」
「私達そっちの経験はまだだけれど」
「それでもね」
「それぞれ好きなものあるから」
「夜だってそうでしょ」
「そんなものかしら」
 ここまで言われてだった、小奈美も遂に少しだが納得した。 
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