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レーヴァティン

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第百二十二話 関西からその十

「それとお刺身も」
「そうだ、野菜も魚もな」
「しっかりと食べないとっちゃ」
「栄耀のバランスが悪いな」
「おうどんは確かに美味しいっちゃ」
 留美はこのことは認めた、言う自分自身うどんをどんどんすすっている。そのうどんは山菜うどんである。
「けれどっちゃ」
「小麦粉でな」
「炭水化物だけになるっちゃ」
「それだと栄養バランスが悪い」
「だからっちゃ、兵達にもっちゃな」
「野菜を食うように言ってな」
 そうしてというのだ。
「実際にだ」
「お浸しを出しているっちゃな」
「俺達が今食っているものをな」
 ほうれん草の浸しがある、見ればほうれん草以外にも人参のものもあるし大根の酢漬けもある。刺身はハマチである。
「出している」
「そうっちゃな」
「兵も身体にいいものをだ」
「うち等の言葉で言うとバランスよくっちゃ」
「そうして食べてこそだ」
 ただ腹一杯食べるのでなく、というのだ。
「そうしてこそだ」
「満足に戦えるっちゃ」
「だからだ」
「お野菜もお魚も出して」
「食わせている」
 その様にしているというのだ。
「昼だから酒は出していないがな」
「お酒は夜だよ」
 桜子は刺身を山葵醤油に漬けて食べながら話した。
「この時に飲むものだよ」
「その通りだな」
「それが普通だね」
「俺もそう思う」
「まあ北条氏康さんは違うことを言っていたけれどね」
 戦国時代に関東で覇を唱えた戦国大名だ、武田信玄や上杉謙信とも戦ったことで知られる知勇兼備の名将であり名君であった。
「朝に飲めってね」
「朝にか」
「そうしたら失態も犯さないってね」
「夜飲むよりもか」
「そうも言ってたよ」
「それは面白い考えだな、だがな」
「あたし達はだね」
「酒は夜だ」
 この時に出して飲むというのだ。
「あくまでな」
「そうするね」
「昼は絶対に出さない」
 そして飲まないというのだ。
「これから動くからな」
「だからだね」
「今は出さない」
 決してとだ、桜子にも答えた。 
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