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異能バトルは日常系のなかで 真伝《the origin》

作者:獣の爪牙
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第一部
第二章 明かされる真実
  2-2




「もー、またそんな危ない登場の仕方して。私のこと置いてくし」

桐生さんが三階の窓から登場してから少し遅れて普通に扉から入ってきたのは二十歳前後の女性だった。

「突然入ってきてごめんね。私は斎藤一十三と言います。そこの真っ黒黒助の……まあ仲間かな」
長髪で顔の半分は隠れていたが、彼女はスーツに身を包み、丁寧な挨拶と優しげな笑顔から親しみやすさを覚えた。

「誰が真っ黒黒助だ。鍵のかかった魔眼(エターナルウインク)」
「だからそんな二つ名言われても誰も分からないでしょ」
エターナルウインク。凄まじいお洒落さだ。
たぶん桐生さんなら親文字も付けてるに違いない。後で聞いてみよっと。

とか考えてるうちに灯代が口を開いた。
「仲間ということは斎藤さんも異能を持っているんですか?」
「そう。今は異能を持ってる者同士が生き残る為にチームを組んでることが多い。そういう意味での仲間。一くんとは元々知り合いだったんだけどね。私達のチームは……」
「黒き十二枚の翼(フォールンブラック)」
「っていう名前。恥ずかしながらね」
「桐生さんらしいですね」
「兄さんは相変わらずみたいね」
とそこまで沈黙を保っていた彩弓さんが異を唱えた。

「お二人が文芸部とお知り合いで異能を持っているのは理解しました。ですが目的が見えません。お二人は今日なんのためにここへ?」
警戒の色を見せる彩弓さんに斎藤さんが少し慌てたように早口で
「別に今から戦おうとかそういうわけじゃないから安心して? 今日来たのは…」
「OB訪問だ」
「OB訪問?」
文芸部一同は一様に頭にはてなを浮かべた。
弁明しようとした斎藤さんは桐生さんの乱入に頭に手を当てため息をついた。


「なるほど、お二人は文芸部のOBで先生ともお知り合いだったため、許可を得て校内に入っていると」
「そういうこと。いや物分かりのいい後輩が入ってくれて助かったよ」
ありがとうございます、と彩弓さんはお礼を述べるが
「ですが、相変わらず目的が見えて来ないのですが」

「そうだった、ごめんごめん。OB訪問は便宜上のもので本当は、異能バトルに関して手助けしてあげようと思ってね」
手助け?とみなが頭を巡らせた時、

「お前ら、昨日北校の連中に襲われただろ?」

文芸部一同が驚くなか桐生さんが淡々と話し出した。
「安藤が敵と遭遇し重傷を負うも仲間と連携してなんとかこれを退ける。なんの情報も無いなか危機的状況は変わらず一夜明けてみなで話し合い警察に相談するべきと結論付けた。違うところあるか?」
どうやって情報を手に入れたのか分からないがその情報収集力と分析力の高さに唖然となるも、彩弓さんが応対する。
「……ええ、間違いないです」
「そうか。その上でもう一度言わせてもらうが、それはやめた方がいい」
「なぜか聞いても?」
「それについてはうちの精霊に任せよう。本来ならお前らの担当がするべき仕事だからな。おい、リーティア」

今度こそ自分の目を疑う現象が目の前で起きた。

千冬ちゃんのゲートのように黒い入口から出てくるのではなく、文字通り何も無かったはずの所から手の平サイズの羽の生えた小人が出てきた。

「なんであたしが、知らない奴の尻拭いを」
「リーティアちゃん、お願いね」
斎藤さんに頼まれた小人からチッという明らかな舌打ちが聞こえた。
「これが、精霊ですか?」
「私を指差してこれとは随分なご挨拶ね。ガキ」
あまりの出来事に開いた口が塞がらなかった。 
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