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レーヴァティン

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第百二十一話 即位その五

「軍勢を送るな」
「俺っち達もだな」
「行ってもらうな、何人かな」
「わかった、ではな」
「あと地中湖もな」
 ナイル川の話が出ての言葉だった。
「そこもな」
「モンスターを退治してだな」
「穏やかにするか」
「ああ、すぐにな」
 こう言って即座にだった。
 久志は地中湖南岸部の砂漠やナイル川そして湖のモンスター達を退治すべく軍を動かした。芳直や剛そして進太といった然るべき将も送ってそうした。
 これは彼にとっては当然のことだった、だが。
 モンスター退治で民や街、村の安全を守りそうして内政も進めていくのを見て民達はわかった。それで言うのだった。
「あの人しかいないな」
「ああ、あの人は俺達のことを本気で考えてくれている」
「それで政治も考えてくれているな」
「それで動いてくれる」
「内政もしてくれてるし」
 農業や商業、鉱業、漁業だけでなくインフラや教育にもだ。久志は内政全般を全ての領土で行っているのだ。
「治安もしっかりしてくれてる」
「賊の退治もしてくれるしな」
「それにモンスター退治もだ」
「だったらな」
「あの人しかいないな」
「あの人が皇帝になるならな」
 それならというのだ。
「反対する理由がないな」
「ああ、そうだよな」
「ここはな」
「今回の投票はな」
「〇しかないな」
「あの人に皇帝になってもらって」
 そしてというのだ。
「この浮島を救ってもらおう」
「そして世界もな」
「あの人なら出来る」
「俺達のことを本気で考えているんだ」
「本当に助けてくれるんだ」
「口だけじゃないんだ」
「だったらな」
「あの人しかいないだろ」
「本当にな」
 こう話して投票の時にだった。
 彼等の多くが久志の皇帝即位について支持を示した、それは投票にはっきりと出て。
 久志は国民からの皇帝への即位の支持を圧倒的な割合で得た、その割合は彼にしても驚くべきものだった。
 それでその割合についてだった、彼は驚きを隠せない顔で言った。
「まさかな」
「それでもか」
「ああ、本当にな」
 実際にというのだ。
「九割の支持なんてな」
「お前も想像出来なかったか」
「勝つかどうかわからなかったんだよ」
「そんな風には見えなかったが」
「内面ではそうだったんだが」
「それが違っててな」
 それでというのだ。
「俺自身はな」
「どうなるか、か」
「正直わからなかったんだよ」
「俺は六割の支持でだ」
 正はそのひさしに冷静な声で答えた。
「支持が得られてだ」
「皇帝に即位出来るって思っていたんだな」
「そうだったがな、お前の政治は善政と言っていい」
 ここから話すのだった。 
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