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星河の覇皇

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第七十二部第一章 マウリアの人口統計その二十

「だからだ」
「ここは暫くは」
「エウロパに肩入れして」
「彼等に強くなってもらう」
「そうしていきますか」
「軍事技術や惑星の開発、開拓技術も渡してだ」
 そしてというのだ。
「さらにだ」
「はい、他にエウロパに必要なものがあれば」
「技術以外のものもですね」
「渡す」
「相手の目に見える場所に置いたうえで」
「そのまま渡しては連合が批判してくる」
 その彼等がというのだ。
「だからだ」
「ここは、ですね」
「あえてですね」
「直接渡さずにですね」
「スパイに盗まれた」
「そういうことにしますか」
「見える場所にあってコピーが控えてあればだ」
 幾ら機密でもというのだ。
「相手も取る」
「スパイならばですね」
「そこは阿吽の呼吸でもあり」
「エウロパに取ってもらう」
「そうしていきますか」
「実際にな、直接渡さずともだ」
 それでもというのだ。
「彼等に渡す手段はある」
「その見返りは求めない」
「それも一切ですね」
「あえて、ですね」
「ただ程高いものはない」
 こうもだ、クリシュナータは言った。これもまたチャーチルの格言通り昔からある言葉だ。ビジネスの言葉の一つだ。
「エウロパには見返りは求めないが」
「恩は、ですね」
「売っておきますね」
「これを機に」
「そうしていきますね」
「そうだ、ここはそうしておく」
 まさにというのだ。
「いいな」
「わかりました」
「では、ですね」
「ここは恩を売る」
「そうしていきますか」
「今はな、ではエウロパにはそうしてだ」
 そのうえで、というのだ。
「アウトカースト層も含めた人口統計を行う」
「そうしていきましょう」
「我々はまずは」
「そうしてそのうえで」
「国家の力を把握しましょう」
 マウリアの正確なそれをだ、そして実際にだった。
 マウリアのアウトカースト層も含めた大規模な人口調査がはじまった、それは居住地域や産業にも及んでいた。
 それがはじまったのを見てだ、連合においても話題になっていた。
「マウリアではじまったな」
「正確な人口統計がな」
「ようやくって感じだ」
「というか今までやってこなかったのか」
「わからない国だな」
「一体どんな国なんだ」
 いぶかしむ声すら多かった、だがその統計を見ていてだ。彼等も気付いた。
「アウトカースト層多くないか?」
「三百億以上いないか?」
「何かそんな話が出て来るな」
「そうみたいだな」
「一体どれだけいるんだ」
 それがわからなくなってきたのだ。 
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