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星河の覇皇

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第七十二部第一章 マウリアの人口統計その十九

「そしてイタリアでもマフィアは一掃された」
「ムッソリーニがそうしましたね」
「そうした者達を一掃しました」
「あの国は今もマフィアが存在しますが」
「カモラも」
 マフィアがシチリア系、カモラはナポリ系だ。この時代ではルーツが違うだけで活動場所が同じであることも多い。
「ムッソリーニの頃だけはですね」
「マフィアがいなかったですね」
「彼が徹底的に取り締まったので」
「その結果として」
「そうなった、だが全体主義はだ」
 このシステムの国家はとだ、ギルフォードは最初から否定的な口調で話した。
「民主主義より遥かに問題がある」
「国家に権限が集中し過ぎ」
「国家が全てを動かすので」
「国家システムの麻痺に弱いですね」
「そうなった場合は危機に陥りますね」
「権力のチェックもなおざりになります」
 国家のそれにだ、何しろ国家に権力が集中しているからだ。
「ですから腐敗も生じやすく」
「腐敗の自浄が効きにくいですね」
「硬直化しやすいですし」
「政権交代も容易ではありません」
「だからだ」
 その為にというのだ。
「裏社会が生じようともだ」
「まだ、ですね」
「民主主義の方が遥かにいいですね」
「我がマウリアも民主主義ですし」
「このシステムの方がいいですね」
「失敗もするがその失敗を正すことも出来る」 
 クリシュナータはまたこう言った。
「全体主義ではこうはいかないしな」
「権力のチェックも容易ですし」
「やはり民主主義の方がいいですね」
「そうしたことになりますね」
「これ以上愚かなシステムはないが」
 チャーチルの言葉をだ、クリシュナータはここで言った。
「しかしそれと共にだ」
「これ以上のシステムもない」
「そうした言葉でしたね」
「そしてその言葉通りですね」
「今回の事態もありますね」
「そういうことだ、少なくとも決定した」
 人口統計のことはというのだ。
「それは間もなくはじまりだ」
「そして、ですね」
「正確なことがわかりますね」
「連合式の人口統計を行いますので」
「まさにすぐにですね」
「アウトカースト層の人口と戸籍、産業と総生産も」
「各人の資産もですね」
 そういったこともというのだ。
「わかりますね」
「これまでよりも遥かに迅速に」
「しかも正確無比です」
「実に素晴らしい統計システムです」
「すぐにわかる、まさにだ」
 クリシュナータはまた言った。
「そしてすぐにだ」
「政策に反映出来る」
「マウリアの国力にも出る」
「そのうえで、ですね」
「バランサーとして動いていきましょう」
「そのバランサーの天秤だが」
 クリシュナータは言いつつだ、己の頭の中に天秤を出していた。その天秤は今がどちらにも傾いてはいないが。
「暫くはな」
「エウロパにですね」
「あちらに傾むかせますね」
「そうしますか」
「そうする、連合は強くなり過ぎている」
 彼等、マウリアから見てだ。 
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