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星河の覇皇

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第七十一部第五章 組み入れその三十八

「好きになれません」
「そうだな、しかしだ」
「敵国の発展はですか」
「妨害して遅らせるものだ」
 それが政治の手段の一つだというのだ。
「それでと思うが」
「だからですか」
「そうだ、だがだな」
「はい、私はどうしても」
 八条はまた言った。
「好きになれません」
「それは外務省の話になるか」
「外務省で、ですか」
「このことを話してみるか」
「そうされますか」
「あの総統殿も見破れない様な代物のな」 
 そうした謀略をというのだ。
「仕掛けてだ」
「そしてそのうえで」
「あの国を乱すか」
 エウロパのその発展をというのだ。
「そうするか、可能ならばな」
「可能ならですか」
「不可能なら止めておいてだ」
「我々の発展に専念しますか」
「内政に力を入れてな、内政ならな」
 この分野の政治ならばというのだった、キロモトはここで。
「我々の十八番だ」
「そうですね、発展への政策は」
「このことを千年求めてきたのだ」
 豊かさ、それを求めてきたというのだ。
「それならばだ」
「得意でない筈がありません」
 まさにというのだ。
「このことは確かにですね」
「その通りだな」
「はい、我々は内政についてはです」
「千年の間そればかりしてきたのだ」
 連合で政治といえば内政を指すとまで言われてきた位だ、惑星の開発及び開拓に治安の維持と行政システムの整備にだ。千年の間最優先としてきたのだ。
 その為ノウハウも豊かでだ、キロモトも言うのだ。
「豊かになることならな」
「エウロパにはですね」
「負けるつもりはない」
「それでは」
「彼等以上の発展を遂げるか」
「わかりました」
 八条も微笑んで応えた、そうした話をしながらだった。八条はまた一つ大きな仕事が終わったことを実感していた。そのうえで次のやるべきことに向かうのだった。


第七十一部第五章   完


                          2016・10・31 
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