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この素晴らしい世界に文明の鉄槌を! -PUNISHMENT BY SHOVEL ON THIS WONDERFUL WORLD!-

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十丁

「まだ着かないの? 始めてからもう十日よ?」

「そう言うなよゆんゆん」

十日前から、俺はアルカンレティアへ向けて歩きだした。

歩いてはテレポートポイントを設定し帰宅、翌日はテレポートポイントから再開。

まぁ、暇潰しみたいな物だ。

「それに、実入りも悪くないだろう?」

このアルカンレティア強行軍を開始して、ゆんゆんのレベルは5も上がった。

オーク狩りが功を奏したのだろう。

現在のゆんゆんの…というかゆんゆん、めぐみん、こめっこ、フェイベルのビルドは魔法剣士に近い。

ほぼ俺の影響だが。

でもまぁ、アークウィザードなんて固定砲台よりはマシだろう。

だって奴ら魔力切れたら荷物だし。

それならまだ『固定砲台並の火力を発揮する移動砲台』に育てる方がいい。

ゆんゆんはナイフや手足にライトオブセイバーの劣化版(made by 俺)を纏わせての近接戦もお手のものだ。

「そうだけども…」

「じゃぁいいじゃん」

三時間ほど歩くと、街が見えた。

「お、あれがアルカンレティアかな?」

「たぶん、そうだと思う」

「じゃ、飛ぶか」

「は?」

眼帯を外す。

「ゆんゆん、ちょっと離れとけー」

瞳に意識を集中させる。

フェイベルの瞳に、俺の瞳に。

フェイベルの眼に宿る龍の力を。

純粋種の始祖龍と呼べる愛娘の力を借りる。

背中からするメキメキバキバキと肉が千切れ骨が砕ける音と共に、ビキビキと新たな器官が作られていく。

「にゃんにゃん! 絵面グロいよ!? R18Gだよ!?」

「あ、ごめん。痛覚切ってるからわかんない」

「私の前ではやめてね!?」

一分ほどして、翼が出来上がった。

「うわぁ…真っ黒の翼だぁ…。にゃんにゃんの性格の黒さのあらわれね…」

うるさいぞ。

胸ばっかりでかくなりやがって。

ゆんゆんの脚を掴む。

で、翼をはためかせ、飛び立つ。

「ぎゃああぁぁ!? パンツが!? 私のパンツが丸見えなんですけど!?」

「おれは性格が黒いからな」

「根に持ってるの!? 器ちっさ!?」

「おう俺小さいからお前持ち上げるのきついんだわぁ。
ばいばい」

いい感じの高度に行ったところで、ゆんゆんから手を話す。

ゆんゆんが超絶望した顔をしながら落ちていく。

あー………可愛いわぁ……。

空中でもがくゆんゆんの真下にゲートを開く。

で、転移して上から落ちてきたゆんゆんを受け止める。

「やぁ。スカイダイビングどうだった?」

「……………………ね」

ん?

「しねえええええぇぇぇぇぇぇぇ‼‼‼」

ライトオブセイバーで俺の右腕が切り飛ばされた。

ゆんゆんが落ちる。

が、今度はテレポートで帰ったっぽい。

「さすがにやりすぎたかな……ん?」

左手が濡れていた。

臭ってみる。

あ(察し)。

そら怒るわぁ……。

取り敢えずゲートで腕を回収してくっつける。

「帰りたくねぇ……。絶対リーアに怒られる…」

取り敢えず一人でアルカンレティア行ってテレポートポイント設定するか……。








翌日。

ゆんゆん、めぐみん、こめっこ、リーア、フェイベルを連れてアルカンレティアにテレポートした。

昨日からフェイベルとこめっこ以外の視線が痛い。

なおリーアは肉体(木体?)を維持する養分の殆どをフルーツに充填して手のひらサイズになっている。

今はフェイベルの頭の上にいる。

「この後どうする? アルカンレティア来たしどっか温泉探す?」

「そうですね。それがいいと思いますよ」

「ちゃんと男女別だからね!」

「いやお前らの裸とか興味ねぇし」

「「はぁ!?」」

喧しいアクシズ教徒の布教をかわしながら有名な温泉へ向かった。

「ははっ! 予想はしてたが…」

目の前には日本風の温泉旅館。

恐らくは転生者がつくったものだろう。

暖簾を潜ると、カウンターが置いてある。

そこに座っているのは、30過ぎのエロい女将だった。

「こんにちは。やってますか?」

「ええ、やってるわよ」

にこやかな女将に料金を払う。

「所でこの温泉はどなたが作ったのですか?
私の故郷の建築様式に似ている物でして」

「ああ、ここは私のお祖父様が作ったらしいわ。
なんでもお祖父様は異世界から来た人らしくてねぇ」

そう言いながら、女将がカウンターの奥に置いてある物を指した。

「こういう武器で戦ってた騎士らしいんだけど……」

棒状で、片側だけが緩やかにカーブしたデザイン。

「たっ!? 種子島銃だとぉ!?」

そこにあったのは種子島銃、もしくは火縄銃と呼ばれる物だった。

「にゃんにゃん、あれが何か知ってるの?」

と後ろに立っていたゆんゆんに聞かれた。

「ああ。あれは火縄銃っていう武器だ。魔法が存在しない異世界で矢より速く矢より遠くから敵を狙い撃つ武器だ」

「いせかい?」

とゆんゆんが首を傾げる。

そういえばゆんゆんには話していなかった。

「後で話すさ。あれは銃と呼ばれる武器の中でも比較的原始的な物さ。
あれを発展させたものは一秒に数百から数千の鉄の礫を吐き出す。
何もせずに食らえば血飛沫しか残らない」

「へー。それは私の爆裂魔法より凄いんですか?」

「いや、あくまでも点だし面としても狭い。動かしても線の攻撃だ。
お前の爆裂魔法と比べれば明らかに劣るだろう。
が、万人が使える道具という点においては爆裂魔法より使いやすかろうな」

女将にさわっていいか聞くと渡して貰えた。

「かなり古い型だな…」

鑑定魔法を使って調べる。

「マジか……これ………」

かの有名な、三段撃ちに使われた内の一丁。

現代日本に持ち帰れたならば、どれだけの値が付くことか。

「女将さん、これ、大切にしてくださいね。異世界の歴史に於いては恐ろしく重要な物ですから」

女将さんに火縄銃を返した。

お祖父様の形見だし雑には扱わないだろう。

リーアとフェイベルとこめっこが女湯へ。

俺も男湯へ……と考えてたらめぐみんとゆんゆんから混浴に引っ張られた。

「おいなんだよお前ら」

「異世界の話教えて」

「私も詳しくは知らないので」

「………………………気にしないのかよ?」

「ええ、まぁ。にゃんにゃんに見られた程度で動じませんよ」

「わ、私もにゃんにゃん、なら、べ、べつに……」

どうやら羞恥心ほっぽって異世界の事を聞きたいらしい。

「お前らが気にしないならいいけどよ…」 
 

 
後書き
圧倒的不定期更新の極み…! 
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