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この素晴らしい世界に文明の鉄槌を! -PUNISHMENT BY SHOVEL ON THIS WONDERFUL WORLD!-

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九丁

今行商人から聞いた話だと、魔王軍と人類の戦いは魔王軍がやや劣勢らしい。

なんでも定期的に魔王城を謎の魔法が襲うそうだ。

その魔法は爆裂魔法の十倍を優に越える威力で、魔王軍は定期的に結界を強化せざるを得ないのだという。

へー。まおうぐんのひともたいへんだなー。

「ふふふふ…。どうですにゃんにゃん。私影ながら人類を救ってるんですよ…」

「はいはいすごいすごい」

「んなっ!? 私はこの世界の救世主なのですよ!?」

「だとしたらそれを育てた俺は世界の父だな」

何を隠そうその魔法。

この変態ロリの爆裂魔法だ。

「つか救世主って…プフ」

「怒りますよ?」

「どこが救世主だよ。魔法撃つ度ビクビクしながら嬉ションしてる変態が」

めぐみんには爆裂魔法の威力向上という触れ込みで、魔力を無限に溜められるオーバーチャージというリッチーのスキルを覚えさせた。

そしてそれにより約二月蓄積した魔力。

その全力を以て、バニルミルドから魔王城を爆撃。

結果としてここ二年ほど、魔王軍は防戦一方だ。

まぁ…人類軍にも相応の被害は出てるようだが…。

「それは…! にゃんにゃんが私に首輪なんか着けて爆裂魔法を封じるから…!」

めぐみんの首輪は、魔力を封印する…つまり魔法を使えなくする物だ。

なお、俺でないと外せないように魔法をかけている。

「それよかさっさと帰るぞ」

さっき行商人から買った物を持ち上げる。

「はぁ…親バカですね」

「娘に美味しいもの食わせてやりたいと思って何が悪い」








家に帰ると、ゆんゆんがフェイベルとこめっこに魔法を教えていた。

現在は魔法の根底となりうる化学を教えているようだ。

ゆんゆんは普通の感性なので科学知識を割とすんなり受け入れた。

めぐみんは……爆裂魔法のためだと言ったら全力出した。

「おーいチョコレート買ってきたぞー」

「「ちょこれーと?」」

ガチロリ二人が首をかしげる。

うん隣のロリより可愛い。

「おい、今私と二人を見比べて思った事を正直に吐いて貰おうか」

「にゃんにゃん? チョコレートは薬だよ?」

ゆんゆんがハテナを浮かべる。

「本来はな」

この世界、一応チョコレートは昔からあったらしい。

だが近年はようやく菓子としてのチョコレートが出回り始めたようだ。

まぁ、王都発祥らしいから、里ではあんまり話は聞かないが…。

ガチロリ二人にチョコレートの包みを渡す。

チリチリと包みをほどき、口に入れる。

「あまい………」

「おいしい…」

うん。気に入ってくれて何より。

「ゆんゆん」

ゆんゆんにも渡す。

「なにこれすっごく甘い!」

「はい。お前の分」

めぐみんにも一つ渡す。

「あ、ありがとうございます」

で…。

「おいちょむすけ。お前も食うか?」

「にゃぅ?」

「ほれ」

こめっこがこの間拾ってきた邪神の抜け殻にも渡しておく。

まぁ、お供え物のような物だ。

「ゆんゆん、リーアは?」

「ご飯つくってるよ」

キッチンに行くと、リーアが料理をしていた。

とても似合っている。

「ただいま。リーア」

「おかえりにゃーちゃん。何かいいものは買えた?」

「ああ。チョコレートって菓子を買ってきた」

「お菓子? 薬じゃなくて?」

「ああ」

包みを開け、リーアの口に入れる。

「甘いわね。女、子どもに人気になりそうな味ね」

「だろ?」

「でも甘すぎるわ」

「そう言うと思った」

もう一つ包みを開けて食べさせる。

「あらちょうどいい感じね」

「それはビターチョコレート。苦味が強いやつで、酒にも合うぞ」

「なら今晩はワインでも開けましょうか」












夕食後にワインを開けたのだが…。

「くゅるるる…………」

「お…重い…」

酔っ払ったフェイベルが龍化して、俺の上で寝ている。

二年で大型犬程になったフェイベルに乗られると俺の体格ではきつい…。

「まったく身長伸びてないものね、貴方」

「うるさいぞ…」

仕方ないので、上にフェイベルを乗せたまま寝る事にする。

ゴツゴツした鱗を撫でてやる。

「くゅー…」

「おやすみ、フェイベル」

side out













「何をしてるんですか貴方はー!?」

翌朝、にゃんにゃんはめぐみんの怒号で目を覚ました。

「んー……めぐみん…? どうしたこんな朝っぱらから…」

「どうもこうもありません!」

にゃんにゃんが首を起こす。

「あぁ……そういうことか…」

にゃんにゃんの上に、全裸のフェイベルが寝ていた。

「フェイベル。起きろフェイベル」

「んー……ぱぱぁ…?」

「その場で龍化するか部屋に戻って服を…ぐぇっ…」

にゃんにゃんの上で龍化し二度寝するフェイベル。

「め……めぐみん…たすけて…」

「何をしてるんですか本当に」

「昨日…フェイベルが酔っぱらって…のし掛かられて…」

「起きたら人になっていたと?」

「そういうこと……。とりあえずフェイベル退かしてくれないか?」

めぐみんは全身に魔力を流し、筋力を上げてフェイベルを持ち上げる。

そしてにゃんにゃんの隣にそっとおろした。

「ぁー………重かった…」

にゃんにゃんがフェイベルの背中を撫でる。

「でかくなりやがって…」

「いまやにゃんにゃんより大きいですもんね」

「黙れ」

フェイベルが薄目を開け、尻尾でにゃんにゃんを引き寄せた。

「およ?」

「まだ眠いようですね」

「だな…もう少し寝る」

にゃんにゃんがフェイベルに寄り添い目を閉じた。

「………………………」

めぐみんはそれを羨ましそうに見て、にゃんにゃんの隣に寝転んだ。

寝息の三重奏が響くなか、そっと奥の戸が開く。

「あらあら」

起きてきたリーアが三人を微笑みながら見る。

「仲のいい兄妹みたいね」

クスリと笑うリーア。

にゃんにゃんの枕元に座ると、長髪を手櫛ですき始めた。




「ふふ…頑張ってお父さんをしてる貴方も可愛いわよ。にゃーちゃん」 
 

 
後書き
めぐみんが爆裂魔法を撃つ度白目向いてビクビクする変態になったけど後悔はしていない。 
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