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星河の覇皇

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第七十一部第五章 組み入れその三十四

「少なくとも彼等はそのことを自認しています」
「だからだな」
「連合の同盟国ですが」
「エウロパの同盟国でもある」
「ですから」
 それが為にというのだ。
「双方のバランスを取る為にも」
「エウロパにもか」
「接近してです」
 そうしてというのだ。
「連合の技術もです」
「彼等に流しているか」
「勿論巧みな彼等のことです」
 何かとだ、外交の駆け引きにおいてもだ。
「そのまま渡せば我々に睨まれます」
「それでだな」
「はい、例えばですが」
 八条は考えつつだ、キロモトに述べた。
「たまたまエウロパのスパイがいる場所にです」
「我々から供与された技術のデータをか」
「置いておく等」
「あくまでたまたまだな」
「そしてエウロパのスパイが情報を手に入れ」
「そうなってもだな」
「知らないとです」
 その様にというのだ。
「そうした顔をすればです」
「問題はないか」
「はい、彼等に直接教えれば問題ですが」
「スパイに情報を盗まれるとな」
「これは彼等の行為にはなりませんね」
「しかも証拠がないとな」
「余計にです、証拠もです」
 それもというのだ。
「スパイがそう簡単に残しません」
「だからこそスパイをやっている」
「ですか」
「それでだな」
「はい、技術は渡すのではなくです」
「盗ませるのです」
 故意であるが失態ということにしてだ。
「そうすればいいのです」
「随分と回りくどいが」
「少なくとも表面上は我々への裏切りにはなりません」
「同盟国である我々へのな」
「マウリアはそうした国ですから」
「そうしているか」
「おそらく現在進行形で」
 連合が渡した軍事技術、それをというのだ。
「エウロパに流しているでしょう」
「我々から見ればロートルの技術だが」
「確かに我々にとってはですが」
「マウリアにとっては最新型でな」
「エウロパにとってもです」
 マウリアだけでなくその彼等にとってもというのだ。
「やはりです」
「まさに喉から手が出る程だな」
「欲しいものです、しかも軍事技術だけでなく」
「民間の技術もか」
「マウリアは近頃盛んにです」
「エウロパに渡しているか」
「そうして彼等を技術的に発展させようとです」 
 まさにというのだ。
「そうしている様です」
「我々の一人勝ちではなくか」
「エウロパを復興、さらに発展させて」
「対抗させてか」
「さらにです」
「双方を争わせてだな」
「そこから利益を得るつもりです」
 バランサーの立場をまさにフル活用してだ、マウリアは実際にそうして多くの利益を得てきた歴史がある。 
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