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老ソーサラーの恋

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第二章

「村までですか」
「連れて行ってくれ、わしも若いとな」
 ソーサラーは低い声で話した。
「一人で行けるが」
「この辺りもモンスターや獣が多いです」
「老いぼれが一人で行くにはな」
「危ないですね」
「それで護衛を頼みたい」
 是非にというのだった。
「それで依頼を出したが」
「それで、ですね」
「そうじゃ、それでじゃ」
 今回はというのだ。
「頼みたくてな、報酬は出すしモンスターや獣を倒した取り分の九割は君達にじゃ」
「くれますか」
「うむ、それでいい」
「九割は多くないですか」
 自分達がとだ、ママニはソーサラーに返した。
「流石に」
「三人で行くのやから三割三分だろ」
 ビークもどうかという顔でママニに話した。
「やっぱり」
「そうなるな」
 ママニはビークに応えた。
「ほんまに」
「それがこっちが九割は」
「多過ぎるな」
「どう考えても」
「もう九十二歳、金にこだわりはないわ」
 ソーサラーは笑って二人に答えた。
「だからじゃ」
「お金はですか」
「よいのじゃ、お金はな」
「そうですか」
「それはいい、子供や孫や曾孫達に遺産相続の話も済ませたしな」
 このこともあってというのだ。
「金はな」
「ええですか」
「それであらためて言うが」
「村まで、ですか」
「護衛してくれるか」
「その条件でいいのなら」
 ソーサラー自身が言ったそれでとだ、ママニは彼に返した。そうしてだった。
 二人はソーサラーの護衛ということで街を出た、そのうえで三人で一緒に外を歩くとすぐにだった。
 モンスターや獣達が出て来た、二人はすぐに彼等を倒していくがソーサラーも術を使うがその術は速く出され威力も狙いもだった。
 実に強力で正確だった、それでママニは彼に言った。
「お見事です」
「若い頃は冒険者として多くの修羅場をくぐってきたしのう」
「戦いで術を使う際も」
「この通りじゃ」
 まさにというのだ。
「今も自信がある、とはいっても」
「とはいってもとは」
「やはり歳じゃな、落ちたわ」
 ソーサラーは無念そうにこうも述べた。
「何かとな」
「術がですか」
「身体が思う様に動かん」
「そうは思いませんが」
「いやいや、若い時と比べるとな」
 どうしてもというのだ。
「落ちたわ」
「そうですか」
「やはりお前さん達に護衛を頼んでよかった」
 ソーサラーの言葉はしみじみとしたものだった。
「村まで頼むぞ」
「それでは」
「それで爺さんの目的は」 
 ビークはソーサラーに依頼の話をした。 
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