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ある晴れた日に

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660部分:炎は燃えてその四


炎は燃えてその四

「ここはね」
「ふうん、そうなの」
 静華がそれを聞いて少し呑気な調子で述べた。
「そこなのね」
「うん、とにかく彼等はここにいるよ」
「ああ、部屋もわかってるんだな」
 坪本はその住所を見ながら述べた。
「何か凄いな」
「そうね・・・・・・ってこれって」
 ここで咲が怪訝な顔になって声を出してきた。
「あそこじゃない」
「あそこって?」
「何処なんだよ」
 すぐに凛と春華に問われた。
「何か心当たりあるみたいだけれど」
「何処なんだよ」
「咲のパパの会社の人のいるマンションよ」
 そこだというのである。
「パパの同期の人なのよ」
「ってことは」
「その人の知り合い?咲って」
「そうよ」
 そのものだというのである。
「このマンションにも何度か行ってるし。高校に入ってからは行ってないけれど」
「じゃあそう言えばな」
「このマンションにも出入りできるよな」
「そうよね」
 皆彼女の言葉を聞いて今度はこう言い合った。
「それだったら」
「かなり有利になったわね、これはまた」
「そうだね。僥倖だよ」
 加山もまさにその通りだというのだった。
「これってかなりの」
「この人も会社の」
「八条百貨店よね」
「ええ、そこの常務さんなのよ」
 明日夢に応えて述べたのだった。
「パパが専務でね」
「ふうん、じゃあ余計に使えるわね」
 明日夢はそこまで聞いてあらためて述べた。
「いい感じに」
「そうね。いざって時は」
「その人の知り合いって言って入ったら」
「それでね」
「とりあえずパパに言ってもらうわ」
 咲はこうも皆に話した。
「その人のお家に皆で行くことになるってことをね」
「理由はそれ?」
「ええ、それよ」
 恵美に対しても答えた咲だった。
「それであいつの部屋に。いざとなったらね」
「これで話はある程度進んだね」
 竹山はここまで話を聞いて静かに述べた。
「いざって時にはね」
「うん、とりあえずここまで進んだら上出来だよ」
 桐生もそれでかなり満足していた。
「これでね」
「そうだね。それじゃあ後は竹林さんのことにとりあえず専念しよう」
「そういうことね」
 皆で話をしていた。そしてここに正道が来たのだった。
「いいか?」
「おっ、来たのかよ」
 佐々が彼に最初に応えた。
「何か珍しいよな、御前がここに来るなんて」
「確かに」
「いいことがあった」
 こう言って皆にところに来たのである。
「それでだ」
「いいこと?」
「竹林のことかよ」
「そうだ。昨日のことだ」
 昨日のことを話すのだった。
「未晴に音楽を聴かせていた」
「ああ、それで」
「どうなったの?」
「反応があった」
 それがあったというのである。強い声で。
 
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