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おぢばにおかえり

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第五十三話 おさづけの理その三十

「けれど今日はね」
「有り難うですか」
「お陰で何もなかったわ」
「女の人、特に先輩は夜一人で歩いたら駄目ですよ」
「何で特に私はなの?」
「いえ、大切な人ですから」
「私がなの」
 その大切という言葉が気になって尋ねました。
「そうなの?」
「はい、大切な先輩ですから」
「別に何もしていないのに」
「それでもですよ。何かあったらいけないから」
 またこう言う阿波野君でした。
「何時でもですよ」
「何かあったら」
「はい、こうしてボディーガードさせてもらいます」
 是非にと言うのでした。
「何でしたらいつも」
「いつもはいいわよ。だから阿波野君にも都合があるから」 
 そんなことはとてもです、正直そこまでしてもらうとどれだけ悪いか。
「今回みたいな夜とかね」
「危ないところに行く時とかですね」
「そうした時でいいから」 
 こう阿波野君に答えました。
「今回は有り難うってことで」
「そうですか。じゃあ」
「ええ、また明日ね」
「お休みなさい」
 私達はお互いに挨拶をして別れました、私は阿波野君と別れてから寮に入りました。この後は何もなかったのですが後で思わぬ事態になりました。


第五十三話   完


                2018・7・29 
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