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おぢばにおかえり

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第五十三話 おさづけの理その二十九

「寂しかった時はそれからもあったけれど」
「何かと大変で」
「団体生活だからね」
 文字通りのです、何か昔は自衛隊より厳しかったと聞いています。私達の時はそれ程ではなかったですけれど。
「やっぱりね」
「大変なこともあって」
「苦労もしたわ、けれどあと少しでね」
「卒業してですね」
「寮も出るわ」
 卒寮です。
「あっという間だったわ、特に三年生の時はね」
「今はですか」
「何かね」
 阿波野君を見て思いました。
「阿波野君のせい?」
「僕のですか」
「阿波野君と会ったらね」
 三年生になってまさにすぐでした。
「もうそこからね」
「時間が経つのが以前よりも速くなったんですか」
「そんな気がするわ」
 妙にです。
「どうにもね」
「充実してると時間の流れが早いっていいますね」
 こう私に言ってきた阿波野君でした。
「つまり僕と会ってからですよ」
「余計に充実する様になってなの」
「時間が経つのが速くなったんですよ」
「何で阿波野君に会ってなのよ、まあとにかくね」
 寮の前に来ました、それならでした。
「ここまで一緒に来てくれて有り難うね」
「いえいえ、治良さんや言われてですから」
 ここでは謙虚な阿波野君でした。
「お礼には及びませんよ」
「そうなの」
「これ位何時でもですから」
「何時でもは悪いから」
 そこまでしてもらうなんてとてもです。 
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