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星河の覇皇

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第七十一部第五章 組み入れその七

「生きる為に必要ですから」
「国家としても」
「だからこそ人類は侵略を繰り返してきましたね」
「サハラは統一の為ですが」
「これも生きる為になりますね」
 国家として連合やエウロパに対抗してだ、実際に彼等もそうした考えは念頭に置いてそうして統一を目指している面がある。
「生きる為には戦うこともありますね」
「食料や水、土地に資源を手に入れる為に」
「だからこそ戦争が起こってきた」
「しかし我々は満ち足りています」
「土地も資源も」
 無論食料や水もだ、銀河にはそれだけの富が存在しているのだ。尚エウロパは惑星開発技術の未熟さから領内の惑星が開発出来ず一千億以上は養えずこのことでは中々苦労しているのが実情である。
「ありますから」
「侵略の必要はありませんね」
「貿易はしたくとも」
「そのことを相手にもですね」
「理解してもらえればいいですね」
「異文明同士の接触は非常に難しいです」
 八条は人類の歴史から話した。
「それが悲劇を招いた例も多いです」
「はい、キリスト教とイスラム教にしましても」
「スペイとアステカやインカにしましても」
「それが悲劇になった例は多いですね」
「人類の歴史においても」
「だからです」
 八条はさらに言った。
「我々も慎重に行わないといけないです」
「彼等との接触は」
「それにはですね」
「細心の注意を払い」
「それが衝突にならない様にしますね」
「そうです、それが惨劇になってはです」
 十字軍やインカ帝国の滅亡の様にだ、どちらも人類の歴史の汚点特に連合ではそうであったと書かれている。
「ならないので」
「慎重ですね」
「あくまで」
「そして、ですね」
「平和な関係を築いていくべきですね」
「侵略をする必要はないのですから」
 それだけにというのだ。
「決してです」
「こちらは軽挙に走らない」
「慎重にですね」
「相手の出方も見ますが」
「それでもですね」
「そうです、慎重には慎重です」
 それに徹してというのだ。
「こちら側の対応も相手の行動の見極めも」
「決してですね」
「油断せずにですね」
「侵略はせずさせない、ですね」
「そうしていきますね」
「そうです、だからこそ辺境の国境警備もです」
 そちらもというのだ。
「これからは中央政府軍も配属され」
「厳重なものとなり」
「不法出国者を許さず」
「他の知的生命体に備える」
「そうしますね」
「その様に、内外への備えです」
 その双方へのというのだ。
「そうしていきましょう、しかし思うことは」
「と、いいますと」
「それは一体」
「はい、これまでの国境警備は運がよかったです」
 こう言うのだった。
「各国軍の警備では限界がありましたが」
「他の知的生命体とは遭遇してこなかった」
「それも全く、ですね」
「そしてそれはですね」
「運がよかったのですね」
「そう思います」
 心からだ、八条は言った。 
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