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レーヴァティン

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第百十五話 半島の後からその三

「そしてだね」
「浮島の情勢を見極めてな」
「そこから動くんだね」
「ああ、逆に今迂闊に動くとな」
「しくじるね」
「そうなりかねないからな」
 だからだというのだ。
「今はな」
「情報収集だね」
「それをしような」
「じゃあ各地に密偵を送って」
「各地のことを調べるぜ」
 こう言ってだった、英雄は内政と軍備を整え商業も盛んにしてだった。浮島全体の情報を集めにかかった。
 暫く彼は軍を動かさなかった、だが。
 浮島全体の状況がわかってだ、彼は仲間達に話した。
「北にはな」
「騎士団や王国にはですね」
「今は攻め込まないな」
 こう源三に話した。
「連中は強いからな」
「今は、ですね」
「仕掛けないでな、お互い仲が悪くて争っててな」
「こちらは二の次となっているので」
「その間にな」
「我々は、ですね」
「他の地域に進出してな」
 その様にして、というのだ。
「それでだよ」
「騎士団か王国か」
「どっちか倒すか、ただな」
「まずはですね」
「ああ、勢力を今以上にな」
「強くすることですね」
「騎士団や王国以上にな、それも確実かつ容易にだな」
 久志はこうしたことも言った。
「連中以上の勢力を確立したいな」
「そうですか、ですが」
 源三はここまで聞いて久志に述べた。
「それはあくまで理想で」
「物事は理想通りにいかないってな」
「現実はまた違います」
「だよな、けれどな」
「戦略の理想ですね」
「俺達もそうなるからな」
 だからだとだ、久志は源三に話した。
「ここはな」
「そう考えながらですね」
「やっていこうか」
「そうですね、では」
 久志のよく言えば理想悪く言えば自分達に都合のいい戦略の考えを聞いてだった。源三は少し考えてから彼に言った。
「やはり南ですね」
「この半島の対岸部か」
「はい、あの地域をです」
「手に入れるべきか」
「あちらは沿岸部から浮島の端までです」
「地面が続いてるよな」
「はい、浮島の南から南東の縁の部分にあたり」
 そうした地形でというのだ。
「南東部はよい河川があり穀倉地帯にもなっています」
「この浮島全体のな」
「そして確かな勢力もありますが」
「古い王国があったな」
「この浮島で最も古いという王国が」
「そうだったな、それで沿岸部はまだ緑はあってもな」
「少し行くと砂漠地帯であり」 
 源三は気候の話もした。
「人口は沿岸部そしてです」
「古王国にな」
「集中しています」
「それが半島が面している地中の湖の南岸部か」
「左様です」
「そうだな、大体人口は」
「古王国以外の地域を合わせて三百万程度です」
「少ないな」
 半島と比べると、とだ。久志は源三の話を聞いて述べた。 
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