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ある晴れた日に

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587部分:誰も寝てはならぬその五


誰も寝てはならぬその五

「この彼がしてきたんだ」
「それでも掴まらないのは」
「あれなのね」
「父親が警察に圧力かけられるから」
「それで」
「何て話だ」
 今言ったのは春華だった。
「とんでもない話じゃねえかよ」
「見つけたら許さないわよ」
「そうよ、未晴の仇だし」
 静華と凛も言う。
「袋にして思い知らせてやるわ」
「絶対にね」
「けれど確かなものがないと駄目じゃないかしら」
 彼等に告げたのは千佳だった。
「証拠がないと」
「ああ、そうよね」
 茜がそれを聞いて顔を曇らせた。
「やっぱり。それがないと」
「何よ、だったら」
 咲はそれを聞いて顔を曇らせた。
「向こうが警察動かさせないんだからどうしようもないじゃない」
「そうよね。それだと」
 明日夢もそう見ざるを得なかった。
「結局のところは」
「どうしたものかな」
 加山も今は腕を組んで言うだけだった。
「これは」
 こんな話をしていたその時だった。その奈々瀬がクラスに入ってきた。
「ああ、おはよう」
「どうしたのよ、今日は」
「遅かったじゃない」
「まあこっち来いよ」
 五人組の仲間達がそれを言うのだった。
「また凄いことがわかったわよ」
「だからこっち来て、早く」
「あの・・・・・・私」
 しかしであった。奈々瀬は俯いたまま。こう言うのだった。
「見たのよ」
「見たって?」
「一体何がだよ」
「何を見たのよ」
「あいつ・・・・・・」
 こう言うのだった。
「間違いないよ。あいつだった」
「あいつって」
「まさかあんた」
「登校中に」
「うん・・・・・・」
 こう答えるのだった。頷いたまま。
「見たの。公園で」
「それって」
 竹山も言ってきた。
「見たの?」
「そうなの」
 まさにその通りだと彼に返した奈々瀬だった。
「その写真。見せて」
「あっ、うん」
 それに応えて見せてみるとだった。やはりこう返してきたのだった。
「間違いないわ」
「っていうことはつまり」
「この辺りにもいる!?」
「だよな」
 皆それを聞いて顔を真っ青にさせてそれぞれ言い合った。
「ってことはな」
「そうなるよな」
「怖かったわ」
 奈々瀬は真っ青な顔でまた皆に話した。
 
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