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レーヴァティン

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第百十四話 長田にてその一

               第百十四話  長田にて
 英雄は数人の護衛の者達を連れて旅の商人ということにして大坂から長田に向かった、だが彼は陸路では進まなかった。
 瀬戸内の湖を使ってそうして大坂の港から神戸に港に向かった。彼は神戸の港に降り立つと供の者達に言った。
「陸から行くよりずっと速いな」
「はい、まことに」
「船で行きますと」
「船は昼も夜も進みます」
「止まることがないですから」
「すぐに着きますね」
「大坂と神戸なら尚更だ、流石に空船には負けるが」
 それでもというのだ。
「迅速にだ」
「着けますね」
「我々も驚いています」
「陸からは遥かに時間がかかります」
「ですが船ならです」
「この通りです」
「まさに瞬く間です」
 陸で大坂から神戸に行くより遥かにだというのだ。
「これは大坂から淀川で都に行くことと同じですが」
「やはり船はいいですね」
「行き来が楽ですし」
「速いです」
「こんないいものはない、しかも多くのものが運べる」
 英雄はこの利点の話もした。
「このこともいい」
「左様ですね」
「では、ですね」
「今度船をより多く増やし」
「軍勢の移動にも生かしますか」
「そして商いもですね」
「今以上にな、瀬戸内の湖は完全にだ」
 それこそという言葉だった。
「手に入れたいな」
「左様ですね」
「今我々は瀬戸内の東を抑えていますが」
「大坂の湾からこの神戸、淡路、そして四国の東と」
「そこから西もですね」
「是非ですね」
「抑えてだ」
 その様にしてというのだ。
「水軍も育てそしてだ」
「商いもですね」
「盛んにさせて」
「そうして国を富ませてもらいますね」
「この浮島全体を」
「そうしたい、既に我々は水軍は持っている」
 幸正が率いている彼等がというのだ。
「だがその水軍をな」
「今以上にですね」
「大きくしていきますね」
「摂津と志摩にありますが」
「その両方を」
「そうしたい、あと敦賀の港にもな」
 大坂を表側とすれば裏側にあるそちらのというのだ。
「これからはな」
「水軍をもうけていきますね」
「あちらにも」
「そしてあちらの湖の守りにする」
「そうしていきますね」
「そうも考えている」
 実際にという返事だった。
「あちらの水運も握りたいしな」
「左様ですね」
「ではそちらもですね」
「整えてですね」
「そしてそのうえで」
「あちらの湖とそこにある水運もまた」
「俺達が手に入れる」
 英雄ははっきりと言った。
「そして特に瀬戸内はな」
「はい、これからも」
「しかと握っていく」
「今は東だけですが西もですね」
「そちらもまた」
「そうしたい、そして今はな」
 英雄は話を移した、今度の話はというと。 
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