レーヴァティン
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第百十三話 返す刀でその十一
「あの教会ともな」
「縁があってであります」
「あの教会の娘さんのこともな」
「ぢ亜額でも評判でありますな」
「それでだ」
「長田といえばでありますな」
「あの娘さんを思い出したが」
「あの娘さんの従姉さんっていえば」
紅葉はこちらの娘の話をした。
「マジックの娘さんですね」
「駅前の喫茶店のな」
「あのイギリス風のお店の」
「あそこのコーヒーは美味いな」
「それに紅茶も」
「それで評判だったな」
「スイーツも美味しくて」
それでというのだ。
「いいお店ですが」
「あの店の娘さんがな」
「教会の娘さんの従姉さんで」
「俺達と同じ大学に通っていたな」
「八条大学に」
この大学にというのだ。
「そうだったな」
「はい、確か」
「そこからもな」
「長田といえばですね」
「あの教会の娘さんを思い出した」
そうなったというのだ。
「本当にな」
「ではその長田に」
「今から行く、そしてだ」
そのうえでと言うのだった。
「実際にどういった女か見てな」
「そうしてですね」
「決めたい」
これが英雄の決断だった。
「だからな」
「これからですね」
「少しここを空ける」
大坂をというのだ。
「その間頼む」
「いや、お供は」
どうかとだ、良太が話した。
「必要ですが」
「護衛にだな」
「そうです、確かに貴方は神器を持ち強いですが」
「棟梁が自らならず者にそれを使うとな」
「流石に目立つので」
「お忍びにもならないな」
「ですから身分を隠されても」
それでもというのだ。
「護衛の者達をです」
「連れて行くべきか」
「はい」
是非にとだ、良太は英雄に述べた。
「ここは」
「そうか、ではな」
「はい、護衛の者もですね」
「連れてだ」
そのうえでとだ、英雄は良太に答えた。
「長田に行こう」
「それでは」
良太も頷いた、そうしてだった。
護衛の者の手筈も整えてだった、英雄は留守を十二人に任せてそのうえで長田に向かった。彼自身の正室を迎える為に。
第百十三話 完
2019・5・8
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