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おっちょこちょいのかよちゃん

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11 四つの不思議な石

 
前書き
《前回》
 かよ子と冬田はフローレンスとイマヌエル、そしてグループ「義元」の一人・濃藤すみ子と交渉。かよ子はすみ子もまたこの世界の異変が気になっているという事・武器の入手と秘密基地を乗っ取った経緯を知る。この戦いを終わらせる事をお互い誓い合う。そして退散した杉山達「次郎長」の前に現れたのは!? 

 
 かよ子と冬田はフローレンスとイマヌエルによって自分達の町に連れて帰って貰った。とある十字路で降ろして貰った。
「フローレンスさん、イマヌエルさん。ありがとう」
「それではまたお会いしますわ。さようなら」
「あ、あの・・・!!」
 かよ子は二人を呼び止めた。
「何かあるのか?」
「あの秘密基地の事、私が知ったら杉山君に嫌われるんじゃないかって心配なんだ。大丈夫かな?」
「そ、そうよねえ!私も大野君に嫌われそうで心配だわあ!」
「大丈夫ですよ。彼等もきっと理解してくれます。但し、他のお友達に言いふらしませんようにする事が条件ですよ」
「はい、ありがとうございます」
「ああ、そうそう、私からは此方を差し上げますわ」
 フローレンスは背中から羽根を二枚抜き取りかよ子と冬田に渡した。
「この私の羽根で空を飛ぶ事ができます。高速かつどこまでも飛行できますわ。飛ぶ時は常にこの羽根を身につけて放してはいけませんよ。途中で放しますと落ちてしまいますからね」
「うん、ありがとう、フローレンスさん」
「それではさようなら」
 フローレンスとイマヌエルは飛び去った。
「冬田さん、この喧嘩止めよう!」
「そうねえ、大野君達の為にもねえ!!」

 杉山、大野、ブー太郎、まる子からなる組織「次郎長」は石松と名乗った男と対面していた。
「い、石松ってあの『森の石松』う~!?」
 まる子は驚きを露にした。
「それでその石松が俺達に何の用だ?」
 大野が質問した。
「某は組織結成の際に我が親分の名を使用した事で喜んだ。某はお主らを次郎長親分のように強くしてやりたいと思ったのだ」
「オイラ達をどう強くするんだブー?」
「某はこの四つの石をお前らに授けたい。この石には力があるのだ」
 石松は四つの石を杉山達に渡した。杉山には黄色の稲妻模様の石を、大野には木の葉が描かれた石を、ブー太郎には水のような青い石を、そしてまる子には炎のように赤い石が渡された。
「杉山さとし、お主の石は『(いかずち)の石』。雷を操る事ができる。時には天候操作もできる。大野けんいち、お主の石は『草の石』。植物を巧みに操れる。草を伸ばして鞭にしたり、種を弾丸のようにしたりな。富田太郎、お主の石は『水の石』。水を操る能力がある。水を掴んだり、水上を歩く事もできるぞ。さくらももこ、お主の石は『炎の石』。炎を操る能力だ。炎を手に持つ事や己の体に触れた相手を熱で火傷させる事もできる。この石は今後お主らにとって大いなる事に役立つであろう」
「大いなる事って何だブー?」
「今この世界、特にこの日本は破滅へと導かれる危機にある。その石はそれを防ぐ為の鍵になるという事だ。では」
 石松は幽霊のようにスッと消えてしまった。
「ねえねえ、この石どうする~?」
「もしかしたらあの石松って奴の言うように役に立つし、『あいつら』にも対抗できる筈だ。この石を使えるように練習だ!」
「賛成だブー!」
 大野の意見に皆賛成した。こうして「義元」から秘密基地を取り返す為、自己強化の為に石を操る練習を始める「次郎長」の面々だった。

 すみ子は自分達「義元」と元の基地の持ち主である「次郎長」との対立を沈めようと決めていた。家に帰る途中、兄と遭遇した。
「あれ、すみ子、今日も遅くまで遊んでたのか?」
「うん、お兄ちゃん・・・」
「元気ないな、何か嫌な事あったのか?」
「うん、実は私達が見つけた秘密基地の元々の持ち主の子が来て怒らせちゃったの。山口君達は追い払ったんだけどあの子達に申し訳なくて・・・」
「そうか、それは息苦しいな・・・」
「それでその喧嘩を止めたいの・・・」
「よし、俺も協力しようか?」
「ううん、お兄ちゃんに助けを呼ぶと汚いって言われちゃうわ」
「そうだね。それにすみ子にはその不思議な銃できっと止められると思うよ」
「うん、ありがとう。お兄ちゃん」
「よし、帰ろうぜ」
「うん」
 すみ子の兄・濃藤徳嵩は妹の持つ不思議な銃を見ても、不審に思ったり取り上げたりはしなかった。寧ろすみ子がこの世の危機を感じている事もそのすみ子の銃が不思議な力を持つ事も既に気付いており、彼女の為にもそのままがいいと分かっていた。


 翌日の放課後、「次郎長」は石松から貰った石を使いこなす為の特訓を引き続き続けた。
「行くぜ!」
 杉山は電撃の槍を繰り出せるようになっていた。
「杉山君、凄いブー!」
「これでイチコロできるかもしれねえぜ!」
「よし、俺もやってやるぜ!」
 大野は周囲の木の葉に渦を巻かせて嵐を産み出したり、草を伸ばさせて刀のようにしたりしていた。
「大野君もやるねえ~」
「さくら、ブー太郎、お前らもやってみろよ」
「うん、ブー」
 ブー太郎は手から水を出して水鉄砲をかました。すると木の枝を一本折った。
「おお、やるな、ブー太郎!」
 杉山が褒めた。
「よおし、アタシもやるよお!」
 まる子は火炎放射した。その他、炎の渦を作り出したり、地面に炎を通してマグマを造ったりした。
「よし、明日は決戦だ!」
「俺達のこの石の力で基地を取り返すぞ!」
「おう!」
 四人はそれぞれが持っている石をぶつけ合った。

 同じ頃、かよ子と冬田はフローレンスから貰った羽根で高台まで飛行していた。
「あ、あの子達い・・・。今日もいるう!」
「でも急に首突っ込んだらまた昨日みたいに返り討ちにされちゃうから今日はそのままにした方がいいよ」
「そうねえ・・・」
「今日はまるちゃん達来てないね・・・」
「もしかして諦めたのかしらあ?」
「それはわからないけど・・・」
 かよ子と冬田は待ちぼうけしてもいつまでも「次郎長」の面々は来ないので引き上げることにした。

 「義元」の面々は秘密基地にいた。
「あいつら今日は来ないでやんす」
「そうだな、俺達に敵わないと思って諦めたんじゃねえのか?」
「なら、安心だぜ。このいい景色を取られたくねえしな」
 しかし、すみ子はあの四人組が簡単に諦めるとは思えなかった。
(でも、私はこの喧嘩を止めてあの子達にも本当の理由を言って許してもらわないと・・・。あの山田かよ子ちゃんって子も私みたいにこの世界がおかしくなる予感がしてるって言ってたし、この清水を守る為にもできればあの子達とも協力したい・・・)
 すみ子は心の準備は万全にしていた。 
 

 
後書き
次回は・・・
「決戦「次郎長」vs「義元」」
 大野、杉山、ブー太郎、まる子で組成された「次郎長」と山口、川村、ヤス太郎、すみ子で組成された「義元」が遂に再激突。この戦いを止めるために冬田、フローレンス、イマヌエル、そしてかよ子が動き出す・・・。 
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