星河の覇皇
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第七十一部第三章 小国出身者その二十九
「現状にな」
「軍もですね」
「常に改善を考えていくべきですね」
「連合軍も現状に満足せず」
「さらによい軍隊にしていく」
だから訓練もですか」
「増やしていくべきですか」
「そう考えている」
まさにというのだ。
「私はな」
「そうなのですね」
「現状には満足するな」
「妥協せずにですか」
「常によりよくすることを考えていく」
「そのことが大事ですか」
「満足が過ぎるとそこで落ち着いてしまう」
人間心理の特徴だ、人間は欲に際限がないと言うが満足も知っている。そして満足するとそれでよいとなり落ち着いてしまうのだ。
「そこから動かなくなる」
「しかしそれは、ですか」
「よくはない」
「常に進化、進歩を考えていくべきですか」
「よりよくなる様に」
「欲も過ぎれば滅びるが」
それで身を滅ぼした者は枚挙に暇がない、人類の社会において。
「しかしだ」
「その満足も程々に」
「それでいてよりよくすることを考えず」
「現状を、ですね」
「さらに」
「それが重要だと思う」
オグモはこう幕僚達に話した。
「私はな」
「そうですか、では」
「今以上にですね」
「連合軍をよくする為に」
「訓練もまた必要ですか」
「それが司令のお考えですね」
「強くなりたいのなら」
そう考えるのならというのだ。
「スポーツ選手は誰でもそうだな」
「はい、練習に練習を重ね」
「そして体力と技量を備えていきます」
「スポーツ選手も然りで」
「軍も同じですね」
「市民を守る為にもな」
連合軍は市民の軍とされている、このことは各国軍であった頃から変わらない。市民が主権者である国だから当然のことだ。
「やはりだ」
「強くあるべきですね」
「軍隊については」
「どうしても」
「そう思うからだ」
だからこそというのだ。
「私は主張しているのだ」
「訓練の時間を増やすべき」
「今以上にですね」
「そして精強な軍ですね」
「正規軍もそうあるべきですね」
「だから義勇軍から言われるのだ」
正規軍とは違い常に戦闘態勢にあり猛訓練を行っている彼等とはだ。
「お嬢さんとな」
「正規軍のお嬢さんですね」
「確かに言われていますね」
「精強さとは程遠いからこそ」
「弱兵と評判ですから」
「だからですね」
「そう呼ばれますね」
幕僚達も口々に言う。
「数は多く装備もいいですが」
「システムも整っており」
「軍規軍律も順守していますが」
「それでもですね」
「訓練時間が少なくお世辞にも強いと言えない」
まただ、オグモは言った。
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