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魔法少⼥リリカルなのは UnlimitedStrikers

作者:kyonsi
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幕間 二幕 無限書庫

 
前書き
本筋に関係有ると言えばありますが、現段階では後のための伏線だけですが、読み飛ばしても全然問題ないです。 

 


 ――side紗雪――

 なかなか妙な事になって……ということが、最近の悩みの種です。
 
 空気の薄い方の事務員、紗雪(さゆき)です。ぶいっ。あ、いりません? 
 さて、訳あっていろいろ調べ事をしているんですが、なかなか大変な事に。わざわざ世間が夜になろうとしてる中で面倒なことを。
 
 ……具体的には。

『やはり、あの小娘には厄災しか集まらないではないか!』

『しかし……実際問題デバイス屋を守ることは出来ていたが、裏で何かをしていたのではないか?』

『部隊員の血痕が地下に落ちてた。加えて詳細不明なあの女! なにかしていたに違いない! やはり闇の書は――』

 下らなーと思う半面と、響が言っていた例の女性は……管理局側ではないのがわかった。文字通りのアンノウン。
 しまったなー、その場にいることが出来たら追う事も出来たろうに……まぁ仕方ない。
 
 それにしても、やはり本局の中でも六課は特殊な立ち位置なんだなーと改めて思い知る。

 本局の幹部と呼ばれる中核を成す人たち。というより……過激派と言える人たちが会議を行っているのを、盗聴しているのだけど。
 
 出るわ出るわ。聖王教会は解体スべきだの、ミッドチルダに戦力を割くのは勿体無いだの、そんな地上に何故エースオブエースを置いているのかだの。
 下らないわー。しかもどいつもこいつも油まみれの……文字通り権力に取り憑かれた人たちという印象。
 散々大口叩いてる割には、上に立っても現状維持もできなさそうな人たち。見てて滑稽だ。
 
 しかし、やっぱり妙だ。この膿はどうしようも出来ない問題だし、一旦置いとくしか出来ないが……そうすると、ホテル・アグスタの響の血は何のためだ?
 加えてアグスタの人たちに話を聞いてわからないのが一つ。あの場にはシスターが一人来ていたという証言を得たけど、どこにも写っていなかった。
 でも確かにホテル関係者は彼女を目撃しているのに、白昼夢という事は無いだろう。
 そして、流と接触した老婆もおかしい。管理局のデータベースに一致する物が無いという結果が出た。
 この時点で、三人ホテル・アグスタに招待されてない人が居たということ。でも、どれも管理局の関係者ではないということに現状ではなる。
 もう少し詰めたいけれど、これ以上はちょっと……ん?
 
『ところで、無限書庫の若造はどうなった?』

『確か今日であったはずだよ。なぁに、まだ整理されてない区画だ。人員がそこに集中していても。不慮の事故なぞ、突拍子もなく起きるものだよ』

 ……おや?
 
『次の司書長には、貴方様のご子息が――』

 ……うわぁ、マジかぁ……行こうかぁ。
 
 ノーマークだった場所だけど、直ぐに予定を調べて……その区画の捜査は二時間後か。表立って動けないけど……事情が事情だ。動こうか。
 だけど()の私だけだと時間稼ぎしか出来ないから……そうだな。とりあえず、片っ端から……でも六課の人に依頼を飛ばせば不味い。間違いなくあの油まみれの一党が難癖つけてくる。
 ……一人というか、多分動くであろう人を知ってるけど。接点作りたくないんだよね。あちらの式神というか、ワンコロ一団に匂いを覚えられかねないし。
 ダメ元で犬避け対策しておいて、適当な端末でメッセージとさっきの音声を送りつけまして、と。
 
 さ、行こうか。
 
『管理局の未来は明るいですな! ハッハッハッ!』

 ……あんたらが上に立ったらお先真っ暗だよ下衆共が。 
 
 
 ――― 
 
 無限書庫……わぁ、何時見ても、本当に本で本と本の塔だ。何考えてんだろ私。
 
 さてさて、開始時刻まで30分。ここまで時間掛かったな。書庫員は今回は未開の区画の捜査、対して司書長は司書長室でお仕事と。しかもおあつらえ向きに緊急依頼だからと、部屋に籠もってお調べ中。
 だけど唯一接触が許されてるのは、最近赴任してきたとかいう秘書資格を持つ紫色の髪が綺麗なソーンさんとか言う人のみ。前任の秘書さんは、一身上の都合により退職。今ではご実家で料亭をしていたけど、衛生管理を怠ったと多額の借金苦により自殺された、と。
 
 ……あからさますぎて笑えやしない。
 さて、ソーンさんとやらも捜査に組み込まれているのに、どういうわけか司書長室の前まで来てる。
 あまり考えたくなかったが、大当たり。しかも……これから殺すと決めてるんだろう。不気味に笑ってらっしゃいますね。
 
 なるほどなるほど……うん、二流だわ。
 
「失礼します」

「あれ? ソーンさんどうしたんだい? 何かわからない所でもあった?」

「いえ、そういうわけではなくて……司書長はどこまでお調べになりましたか?」

「? あぁ、この依頼なら順調だよ。何時も無茶ぶりしてくる艦長に比べたら全然さ」

 作業の合間に、なるべく視線を向けて会話をしようとする司書長に対して、ソーンさんとやらはニコリと笑って。

「そうですか。そうですわ司書長。つかぬ事をお願いします――」

 ほんの一瞬で、司書長の元まで踏み込んで。

「――どうか死んで下さい」
 
 ……ホント、つまらない。よくある方法、よくある手段。つまらないったらありゃしない。
 
「やった……いや、何だこれ!?」

「ソーン!? 何を……いや、何だこれ!?」

 貫手が司書長さんに届く前に、その動きが止まるが、ギリギリと僅かに、しかし確実に貫手は前へと進んでいる。
 でも。 
   
「はぁい三流のアサシン……さん。ご機嫌……いか……が!?」

 こんの……馬鹿じゃないの力強すぎ!
 鋼線を使って、場合によっては五体満足じゃ済ませないと思ってたのに……! こいつ、ほんとに人!?
  
「司書長さん! もう持たないからそこ避けて、早く!」

「う、うん!」

 貫手の射線上からどいたのを確認した瞬間、縛り付けてた鋼線を緩めると同時に壁に貫手が突き刺さった。
 即座に、二人の間に割って入って司書長さんの腕を掴んで距離を取る。
 
「そこの三流。一つ聞きたい、お前どこの回し者だ?」

「……それを言うと思って?」

 不敵な笑みを浮かべる三流。肩まで伸びた紫の髪が揺れている。

「……悲しい話。内部の回し者は事前に対策を打ってあった教会の騎士が同行という対策が。でも、アンタの襲来は全く別問題だ。
 お前、違う枠から依頼受けただろ?」  
  
 ここに来て予定データを見てると、既に対策が成されていた。名将クロノ・ハラオウンの依頼で、教会から騎士としても活動してるシスターが何人か同行すると今日発表された。
 おそらく何らかの方法で事前に知って対策したんだろう。
 ならば余計なことをしたなと考えてたけど……妙なタイミングで緊急依頼が入り、対応に回った。
 まさかまさかと考えてたら……案の定だよ全く!
  
 ここで退いて来れたら御の字だけ、ど。
 
「だったら……気持ち悪い仮面ごと、ユーノ・スクライアを殺しましょう」

「あら、般若面知らない? でも、まぁ……やってみな」

 右手に爪状の武器。親指、人差し指、中指に三本の刺突、切裂く事が出来るであろう爪が装着されたのが分かる。一応顔隠すために般若面被ってるけど、見づらいが……そんな事言ってる場合じゃない。
 多分あれ……こっちの鋼線位なら容易く切り落とせる。
 
「君、僕はいいから。直ぐに逃げなさい!」

「……いや、狙われてる人置いて逃げるわけないじゃないですか」

 一応ここに来るまで仕込みは済ませてある、なるべく情報を引き出すか。
  
「貴女も、ユーノ・スクライアも逃がすと思って?」

 そう言って左手をかざした瞬間、唯一の出入り口からガチャリと鍵が掛かる音が。わかりやすい逃がす気はないという意思表示。
 ……ごちゃごちゃしてないでさっさと殺さないから三流ってんだ全く。でも、丁度いい。
 
「……参ったなぁぁ、こんなのが来るなんて聞いてない。冥土の土産に、なんで殺すか教えてくんない?」

「……言うと思って?」

 ですよね。どちらにしろ、この人の身辺調査は行われるだろうから一旦置いておいても後に調べればいい。
 
「さて、後はもう殺すだけ? 遺言残すのも駄目?」

「時間は有限ですから――死ね」

 腰を低くしたのを目にしたと同時に。
 
「えぇ、お互いに。あと」

 もう一度司書長さんの腕を強く掴んで。
 
「……殺すと決めたらさっさと殺すんだよ、愚図が」

 跳んだ。
  
  
 ――sideユーノ―― 
  
 驚いた。今まで転移魔法は使って来たけど、こんなに何も感じずに飛んだのは初めてだった。
 
 しかも三度連続でそれは起きた。最初は無限書庫の職員通路。次は倉庫らしい場所から、最後は小さな面談室と、三回跳んだのが分かる。
 その上この面談室、よくアコース査察官と会う時に使ってる場所だ。
 
「……しんどい。やっぱ……二人は……ギリギリだ」

 白い般若面を被った女の子が離れた場所で呼吸を整えている。こちらから見えないように仮面を上げて呼吸してる。髪も頭巾をしてるせいで分からない。
 
 だけど、これだけは分かる。
 
 この子はクロノからの応援じゃないと。
 
 事前にクロノから言われていた。管理局内部できな臭い動きがある、しかもそれは僕を狙った事だと。だから、事前に教会から騎士をお借りして、今日の捜査の護衛を依頼したのだけど……この依頼は予想外だった。
 だけど、僕も考えが甘かった。まさかこんな直接来るなんて……。
 
「……は、やっと落ち着いた。あー……もー……仕方ないと割り切るか」
  
 向こうで顔を手で覆ったと思ったら今度は背伸び。全然行動が読めない……そうだ。
 
「ごめんね。君のお蔭で助かったよ。名前は……」

「……聞いてしまったから助けただけです。後は……昔友達がお世話になったというか、入り浸ってたらしいので、勝手なお返しです」

 仮面を付けてこちらを振り向く少女。管理局の制服を着てるとは言え、多分外部の人……だと思う。
 ……しかし、この言葉の訛り方と、その仮面から察するに……地球出身の子かな?
 それにしても無限書庫に入り浸ってた子が友達……誰だろう?
 
 ふと、廊下の方から誰かの駆けてくる足音が聞こえた。
 まさかと思って身構えるけれど、お面の子は。
 
「流石……ドンピシャ。情報流して来なかったらどうしようかと思った。それじゃあ司書長さんこれでお暇しますね。あと、ちゃんと護衛付けてください。こんなに大事になった以上次はもう無いですよ」

「あ、ちょ……待って!」

 言い切るよりも先に、お面の子が消えて無くなった。それと同時に扉があいて。
 
「ユーノ先生!」

 と勢いよく入ってきたのは。
 
「アコース査察官! どうしてこちらに?」

「どうもこうも。君をここで殺すと連絡があったからさ。直ぐにここから離れよう。僕が護衛を請け負う。クロノ君も既に動いている」

「待った、丁度今無限書庫から逃げてきたんだ。そこに僕を殺そうとした人が来たから」

「な……! いや……え!?」 
   
 事情を聞けば、アコース査察官とクロノの元にそれぞれ連絡が行ったと、アコース査察官にはここの地図と、僕がここで殺されるという連絡。クロノの元には――
 
「……そうか。しばらく本局内部も混乱するね」

「いや、当然さ。元々時間を掛けて行くつもりだったが、証拠音声も取れたし、何より実行犯も捕まえられた。
 クロノ君が本気で怒ったからね、これくらいは直ぐさ」
 
 クロノいわく、僕の駒に手を出すとはいい度胸だとのこと。
 駒って……もっとこう……何か……くそう。
 
「それにしても、先生を救ったお面の子……ね。まさか僕対策もしてるとは思わなかった」

「……匂いは辿れないだっけ?」

 苦笑いを浮かべるアコース査察官。彼の持つレアスキル、ウンエントリヒ・ヤークト (無限の猟犬)は彼に変わって探査、捜索を行えるという召喚型のスキル。
 精製時に込められた魔力が尽きるその時まで、自立行動を行い続けることが可能で、セキュリティ・障害物を越えての建造物への侵入、コンピュータにアクセスしての情報収集を行えるという優れもの。
 だけど……猟犬だけど、匂いまでは追えないというのが今回仇となった。
 
 僕を助けてくれた女の子を追うことが出来なくなってしまった。当然ソーンも既に消えていた。一応両者共関係は有るんじゃないかという可能性も有るけれど……。
 
「……なるほど、日本系の訛り。先生が言うならそうなんだろう。一応その周りを調べてみるけどね」

「うん、お願いするよ」

「僕もお礼がいいたいからね。それに存外はやて達の側にいるかも知れない」

「……どうだろう」
   
 ここに居ない皆を思い出す。この前のオークションで少しだけ話をしたけれど、もみ消された事実に皆苦しんでいた。
 クロノもその件については、歯がゆそうにしてたっけ。当てつけみたいに面倒な依頼出してきたけど。 
   
 うーん……暗殺未遂があったってなのは達に言うかな……?
 
 気がつけば時刻は夜中に。しばらくは大人しく、でも調査は進めなくちゃ。レリックの事について、もっと細かく。
 
 

 
後書き
長いだけの文かもしれませんが、楽しんで頂けたのなら幸いです。ここまでお付き合いいただき、感謝いたします。  
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