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星河の覇皇

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第七十一部第三章 小国出身者その二十六

「磁気嵐は急に出て来たがな」
「はい、航宙中に」
「まさに急でしたね」
「航宙中の軍団の真ん中に」
「そうした感じで出て来ましたが」
「だが隕石等や前に出て来るならばだ」
 軍団の中に急に出る様な不測の事態の中の不測の事態でない限りはというのだ。
「対応出来るからな」
「偵察艇は常にですね」
「多く出し」
「遠方や上下左右まで出す」
「そして後ろにも」
「そうだ、三百六十度に出す」
 つまり軍勢、この場合は軍団を中心として立体の円形にというのだ。もっと正確に言えばその円は流線型だ。
「そうすればだ」
「周りがどうかわかり」
「対応に困らない」
「事前に何があるかわかれば」
「そういうことですね」
「彗星が来てもな」
 未発見のそれがだ。
「やはり対処出来るかな」
「司令の中にはです」 
 幕僚の一人がこんなことを言ってきた。
「この作戦行動中の哨戒行為がです」
「おろそかな者もだな」
「流石に全くではないですが」
 それでもというのだ。
「軍規で決められているので」
「私の様にはか」
「はい、ここまで徹底的にされていない方もおられるとか」
「そうだろうな、私は自分でも思うが」
「とりわけ、ですね」
「念入りに行っている」
 自分でこう言った。
「この様にな」
「用心をされてですね」
「戦いに勝つにはだ」
「用心も必要だと」
「そうだ、エウロパ戦役で再認識した」
 それまでもわかっていたことだが、だ。実戦でだ。
「敵は何時襲って来るかわからない」
「エウロパ軍も」
「特に数で劣る相手、そして急な災害はだ」
 そういったものはというのだ。
「多くは周辺の哨戒活動を徹底しているとだ」
「防げるのですね」
「エウロパ戦役では助けられた」
 オグモはこうも言った。
「連合軍の偵察艇にな」
「偵察範囲が広いですし」
「数も多い」
 各艦が数隻ずつ持っている、連合軍では。
「それが非常に役に立った」
「エウロパ軍の位置が容易にわかりました」
「規模や艦種まで」
「そしてすぐに対応出来ました」
「確かに非常に助かりました」
「あの戦役では」
「どんな戦艦よりもだ」
 こうまでだ、オグモは言った。
「頼りになった」
「そう言ってもいいまでにですね」
「役に立ちましたね」
「確かにそうでした」
「偵察艇があってこそ我が軍は有利に戦えました」
「そのことは確かにありました」
「だからだ、こうしてだ」
 今の様にというのだ。
「偵察艇を多く出しているのだ」
「司令は」
「そうされていますか」
「あの時の私は艦隊司令だった」
 エウロパ戦役の時はとだ、オグモは少し懐かしむ目で話した。 
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