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八条学園騒動記

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第五百二十一話 おもちゃ屋の二階その八

「お話聞いただけでわかるわ」
「そのゲームがスタッフ三人だったんだ」
「それで商業用ゲーム出したのね」
「凄い度胸だよね」
「同人ゲームならともかく」
 パレアナはそれならと述べた。
「いいけれど」
「それがなんだ」
「商業用ゲームなのね」
「メーカーのね」
「どんなメーカーなのか」
 その時点でとだ、パレアナは首を傾げさせて言った。
「想像するだけで怖いわ」
「それは僕もだけれどね」
「それでも出したのね」
「商業用ゲームとしてね」
「社長止めなかったの?」 
 そのメーカー、即ち企業の最高責任者がというのだ。
「そもそも」
「止めなかったからね」
「販売されたのね」
「そして市場に出て」 
「クソゲーオブザイヤーね」
「それに輝いたんだ」
 ジミーが言うにはぶっちぎりで受賞したというのだ。
「ものの見事にね」
「ううん、それはある意味ね」
「凄いよね」
「制作スタッフも社長さんも人格疑うわ」
「そんなゲームを世に出して」
「常識あるとは」
 パレアナにしてみればだ。
「思えないわ」
「当時社長さんネット上で色々言われてたよ」
「そりゃそうでしょうね」
「常識あるのかとかドラッグやってたのかとか」
「そこまで言われてたの」
「実際かなり濃厚な説だったから」
 そのメーカーの社長が薬物中毒でそれでそのゲームの販売を決定したというのだ。
「本当にね」
「実際はどうだったの?」
「当時同時進行でゲームを何作も制作していて」
「人手がなかったの」
「それでね」
 その為にというのだ。
「そのゲームは版権もので」
「ああ、色々あるわね」 
 版権ものだととだ、パレアナも頷いた。
「納期が五月蠅かったり」
「急に入った仕事で」
「しかも納期まであと少しで」
「悪条件が重なって」 
 それでというのだ。
「もうね」
「まともになのね」
「制作出来る時間と人手も。あと予算も」
 つまり全てがというのだ。
「なくて」
「何もなかったのね」
「だってその時一度にね」
「何作も制作していて」
「そっちにね」
「スケジュール一杯で」
「人手も満杯で」
 そしてというのだ。
「予算もね」
「全部注ぎ込んでいたのね」
「そんな状況でね」
「いきなり仕事が入ったら」
「それはね」
 それこそというのだ。
「もうね」
「やっつけ仕事になるわね」
「断れずに引き受けたら」
 そうなってしまってはというのだ。 
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