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レーヴァティン

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第百十一話 都からその八

「敵が来る前にな」
「倒すことですか」
「鉄砲と術とだ」
 それにと言うのだった。
「大砲を正面にだ」
「斜めに撃つのではなく」
「正面だ」
 そちらにというのだ。
「そこに撃て」
「敵の騎馬隊に向けてですか」
「そうだ、水平にだ」
 砲身をその様にしてというのだ。
「撃て」
「斜めに撃たないとは」
「撃ち方は一つではない」
 紅葉に確かな声で返した。
「中にはだ」
「こうした撃ち方もありますか、遠くを斜めの角度で撃つだけでなく」
「近くをな」
「水平に、ですね」
「撃つ、キャノン砲の様にな」
「キャノン砲ですか」
 実は紅葉は大砲にはまだ詳しくない、それで水平に撃つ撃ち方もキャノン砲についても知らなかったのだ。
 だが英雄の今の話を聞いてだ、頷くのだった。
「では」
「そうだ、今からな」
「その撃ち方をですね」
「してだ」
 そしてと言うのだった。
「敵の騎馬隊を退ける」
「そうしますか」
「そうだ、ではいいな」
 英雄は砲撃を行う大砲の前を開けさせた、そしてだった。
 砲撃を騎馬隊に向けて水平に行わせた、するとだった。
 砲弾は馬や乗っている武者を吹き飛ばしさらにだった。
 地面に着くと激しくバウンドし続け進む先にある騎馬武者達をさらに倒していった、また倒れた馬や人がだった。
 障害となりその何倍もの馬をこけさせる、それで騎馬隊の戦力はかなり落ちた。
 そこに鉄砲隊を撃たせその後で弓矢もだった。
「今度もだ」
「水平にじゃのう」
「そうだ、斜めではなくだ」
 今度は当季に答えた。
「そしてだ」
「そのうえでじゃのう」
「騎馬隊にな」
「弓矢を正面から放つとな」
「弩の様にだ」
 この浮島には殆どない武器だ、あるにはあるがほぼ使われない。
「撃つ」
「成程、正面から撃つとな」
「突進する騎馬隊にはな」
「確かにいいのう」
「大砲と同じだ」
「いい足止めになるぜよ」
 当季も納得することだった。
「ではじゃのう」
「今度は弓矢だ、術もだ」
 英雄はこちらの話もした。
「それもだ」
「水平にだね」
 今度は香織が応えた。
「攻めるんだね」
「そうだ、いいな」
「それじゃあね」
 こうしてだった、弓矢に術もだった。
 突進して来る敵の騎馬隊に水平に放った、するとその彼等も遂にさして力はあると思えないだけの数にだった。だがそれでもだった。
 彼等は来る、そしていよいよ英雄達の軍勢に迫ろうとすると。
 英雄は冷静にだった、今度はこう命じた。 
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