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レーヴァティン

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第百八話 善行がもたらした果報その十二

「こちらから銭を出して」
「写させてもらう」
「随分といい条件ですね」
「蔵書はそのままだからな」
「しかも印刷する銭等はこちらが出すのですから」
「あちらにとっても悪い話ではない」
 それは全くというのだ。
「奪いもせず銭もかからない」
「あちらの負担はないですね」
「ならいい筈だ、しかしな」
「こちらが出す銭以上にですね」
「俺達に利がある」
 多くの蔵書の写しを手に入れて学問を得てというのだ。
「だから銭を使うのだ」
「そういうことですね」
「そうだ、ではいいな」
「はい、大坂に帰れば」
「そうした政も行っていく」
 学問の為のそれもというのだ。
「必ずな」
「そもそもです」
 良太がここで英雄にこう言った。
「寺社特にお寺はです」
「学問を行う場所だったな」
「古来は。神仏に仕える者は学者でもあり」
「多くの知識を備えていてな」
「そして寺社自体にもです」
 そちらにもというのだ。
「多くの書が集められています」
「そういうことだな」
「はい、ですから」 
 良太は英雄にさらに話した。
「お寺は重要な場所です」
「そういうことだな」
「研究所であり学校でもあった」
「そうだな、学校でもあったな」
「寺社は」
「それ故に重要だな、そして俺達もな」
「蔵書をですね」
 英雄、彼を見ての言葉だ。
「手に入れていき」
「集める、あと村や街で寺子屋も開かせるか」
「僧侶や神主達に」
「隠居した暇な武士達もいいな」
「学問のある者達にですね」
「子供を教えさせてだ」
 そのうえでというのだ。
「読み書きを覚えさせるか」
「読み書きを知る者が増えることもですね」
「学問でな」
「力になりますね」
「俺達の勢力にな、優れた人材が多いなら」
「それがそのまま力になる」
「だからだ」
 将来そうした力を備える為にというのだ。
「ここはだ」
「書を集めると共に」
「寺子屋も開かせる」
「そうした政も行っていって」
「力を強める、少しずつでもな」
「強い勢力になりますね」
「他の勢力よりもな」
 こう良太に言うのだった。
「そうなっていく」
「それでは」
「まずはな」
 何といってもというのだ。
「高野山にもだ」
「人をやりますか」
「そうしたい、だが」
 ここで英雄はこうも言った。
「こちらがこう言ってきて、あちらに布施をしてもな」
「お布施ですね」
「それでもだ」
 そうしたことにも銭を使ってもというのだ。 
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