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ドリトル先生と姫路城のお姫様

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第四幕その一

               第四幕  兵庫の棟梁
 先生のお願いに応えたお静さんはその日の朝から先生の研究室に来ました、いつも通り服を着て二本足で立っていて尻尾も二本あります。
 そしておさかべ姫についてこう言いました。
「あの方はこの県の妖怪の総大将よ」
「やっぱり偉い人なんだね」
「そうよ」
 その通りだというのです。
「昔のお国で言うと播磨、丹波、但馬、丹後ね」
「合わせて四国だね」
「その四国のね」
 まさにというのです。
「妖怪の総大将なのよ」
「うわ、凄いね」
「流石お姫様ね」
「それで姫路城にいるだけあるわね」
「凄い妖怪さんだったのね」
「そうよ、本当に凄い方よ」
 お静さんはこの時も先生と一緒にいる動物の皆に答えました。
「私なんかよりずっと長生きだしね」
「あれっ、お静さんって猫又よね」
「猫又って最低でも五十年生きてるのよね」
「最低でもそうだっていうから」
「お静さんは確か何百年生きてるのよね」
「そのお鈴さんよりずっと長生きって」
「そうよ、本当にね」
 その鳥とです、お静さんは皆にさらに言いました。
「妖力も学識も凄いのよ」
「長生きしているだけあって」
「そうなのね」
「じゃあそうした意味でも凄い人なのね」
「それがあのお城のお姫様なの」
「しかもこの世とは思えない位の美貌で」
 そちらも凄いというのです。
「お人柄も気品があって穏やかで」
「本当の意味のお姫様なのね」
「それがあの人なのね」
「それじゃあだね」
「まさに総大将に相応しい方なのね」
「そうなのね」
「関西は妖怪が多くて」
 お静さんはこのこともお話しました。
「それぞれの府県で総大将がいるのよ」
「兵庫はあのお姫様でだね」
「そう、大阪と京都、奈良、滋賀、和歌山、三重でね」
「三重県もだね」
「あそこは東海に入る場合もあるけれど」
「関西に入れられる場合もあるからね」
「あそこにもいるわ、それでね」
 先生はお静さんにさらにお話します。
「狐さんの方もね」
「九尾の狐だね」
「あの方もおられるしね」
「関西は妖怪が多くてだね」
「偉い方も多いのよ」
「そのこともわかったよ、ただ」
 先生は自分が座っているテーブルの空いている席に座ってお茶を飲みつつお話をするお静さんに言いました。
「お静さんのお話を聞いていると」
「どうしたのかしら」
「うん、あのお姫様は狐が正体って説があったけれど」
「それは違うみたいよ」
「それがわかったよ」
「元は人間だったってお話があったわ」
 そうだったというのです。
「私が知る限り狐ではね」
「ないんだね」
「ええ、それと天守物語って作品があったわね」
「実は僕はあの作品についての論文を執筆中なんだ」
 このこともお話した先生でした。
「それであのお姫様についても調べてるんだ」
「そうだったのね」
「うん、それでね」
「ええ、あの方はむしろね」
「天守物語の方がだね」
「そっくりなのよ」
 こう先生にお話しました。
「これがね」
「そうだったんだ」
「何か昔の絵じゃ怖いお婆さんみたいな感じだけれど」 
 それがというのです。 
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